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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第四章、冒険者組合の依頼
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地下十一階層

 クルードフダンジョン、地下十一階層——そこは今までの雰囲気とはガラリと変わる。見た目は普通の洞窟なのだが、大気中に相当魔力が飽和しているようで、ここで使った魔法は威力が強化される。


 そして、この階層を闊歩しているのはメイジフェアリーやフェアリープリーストといった小柄な妖精たちだ。


 見た目は小さな人間。だが、気まぐれに人を襲う魔物だ。その攻撃は魔法に特化している。



「やっぱりミーナがいてくれるとよりこの階層の詳細がわかって助かるなぁ……」

「た、ただ本を読んでるだけよ」



 そういうミーナは嬉しそうにモジモジとしながら顔を染めていた。



 しかし、ここにいるだけで魔物の魔法が強化されるのか……。こうなるとなるべく早くに魔物を見つけるのが重要になってくるな。

 俺は見落としをしないように目を凝らして魔物を探す。



「あっ、いたにゃ」



 ニャーが声を上げる。

 うそっ!? 俺には全く見えなかったのに……。

 ニャーが指差した先をよく見ると確かに小さな何かが浮いているようにも見える。



『メイジフェアリー、レベル8』

【風魔法、レベル4】

【水魔法、レベル4】

【魔法全般に強い、レベル3】

【近接攻撃に弱い、レベル10】



 確かに【詳細鑑定】にも表示されている。

 すぐに短剣を構えるニャー。

 そして、浮いているメイジフェアリーに切りかかっていく。



「にゃにゃっ?」



 その攻撃はあっさりと躱される。あれだけ小さいと動きの早いニャーでも狙うのが大変なのだろう。

 ニャーすら当てることができないのなら俺の出番はないだろう。魔法も効きづらいみたいだから、出来ることは……。



「ミーナ、ニャーの速さを強化してくれ」

「わかったわ。◯◯◯□、速度強化(スピードバフ)



 ミーナがニャーを強化するとようやくニャーの攻撃が当たるようになったみたいだ。

 攻撃が当たってしまうとメイジフェアリーは弱かった。

 強化後、三回短剣をふるうと地面に魔石が転がった。



「ふぅ……、疲れたにゃ」



 あまり自分より早い魔物と戦ったことがなかったもんな。ニャーは一戦しただけで意外と消耗してしまったようだ。このままで本当に探し人が見つかるのだろうか……。


 少し不安になる俺たち。すると、休んでいたニャーの耳が急に垂直に立つ。



「ご主人様、ちょっとまずいにゃ……」



 額から一筋の汗を垂らし、緊張した面持ちでニャーがいう。

 この様子はただ事ではない。俺も剣を抜いて準備しておく。


 この階層にいる魔物はミーナの話だとメイジフェアリーとフェアリープリーストだけのはずだ。

 フェアリーの名を冠するところを見るとフェアリープリーストも小柄な魔物のはずだ。


 少なくとも魔物が目の前にいないのに嫌な気配を感じたり、地面が揺れるほどの地響きを起こしたり……なんで真似はできないだろう。


 もしかするとこの音の正体が行方不明の原因かもしれない。

 それなら最低でも正体くらいは掴んでおきたい。

 ゆっくりと近づいてくるそれに対して、俺たちはじっと目をひそめながら待つ。


 さすがに堂々と通路の真ん中で待っている勇気はなかったので、少し隠れながらだ。


 すると俺たちの目の前にとても大きな魔物が顔を出した。

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