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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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vsアンドリュー

 そして、二日後。

 俺たちはミーナの家へとやってきた。すると、いつもの応接間ではなく、別の場所の地図を渡された。



「色々場所を探したのですが、取れた場所がここに描かれた広場だけなんですよ」



 執事の人がそう言う。まぁ、急に決まったことだからしかたないよな。よく見つけられたと褒めたいくらいだ。


 まだ相手であるアンドリューは来ていないようだった。

 周りには野次馬らしき人達とミーナやその父親も既に待機していた。


 さすがに人に見られて戦うのははずかしいかも……。


 ミーナは心配そうにソワソワとしている。



「ハク……、やっぱり――」

「おう、よく逃げずにやってこられたな。この人前で負かされるわけだもんな。まぁ相手が悪かったと思って諦めな」



 高笑いをしながらやってくるアンドリューに言葉をかき消されるミーナ。

 余裕綽々だな。

 そう思いながら俺は戦う前から【詳細鑑定】を使っておく。



【動きが遅い】

【剣を振ったあとに隙が出来る】



 癖のようなものもこの【詳細鑑定】でわかるようだ。

 俺はこれを元にどう動くかを考える。



「では、お二方準備は良いだろうか?」



 執事の人が中央に立ち、一定距離を開けてお互い見合っている俺とアンドリューに確認を取ってくる。



「俺は大丈夫です」

「あぁ、いつでも構わない」



 俺は剣を抜いて構えを取る。

 アンドリューも細身の剣を抜くとそれを自分の顔の前に構える。



「では、始め!」



 その声とほぼ同時にアンドリューが斬りかかってくる。

 しかし、ニャーと特訓をしていた俺には妙に遅く感じられる。


 いや、気を抜くな!


 俺は自分で自分を戒めて、冷静にその攻撃を躱す。

 そして、すぐにくる第二撃を受け止められるように剣を構える。


 しかし、その二撃目は来なかった。


 というか、避けられたことに憤慨しているようだった。

 あれっ、戦闘スキルを持っていないからそれほど強くないのはわかっていたが、想像以下だ。

 いや、まだ本気を出していないとかだろう。これから、強い攻撃が――。



「おい、私の全力の攻撃を避けるな!」



 来ないみたいだ。というかあれで本気なのか?


 周囲の人も困惑した様子でざわつき始めている。



「次、行くぞ! 今度こそ避けるな!」



 それいったらダメでしょ。

 と思いながらアンドリューの突きを簡単に避けるとその背中に剣を突きつける。



「勝負あり! 勝者、ハクトール!」



 高らかに宣言する執事さん。しかし、周囲の観客はおろか、俺やミーナ、ミーナの父親ですら困惑した様子だった。



「くっ、卑怯な手ばかり使いやがって。能なしなら能なしらしくおとなしく切られやがれ!」



 もう勝負がついたのにまだ斬りかかってくるアンドリュー。

 すると、俺とアンドリューの間にニャーが割り込んできて、短剣でアンドリューの剣を受け止める。



「もう勝負はついたにゃ。それ以上やるならニャーたちも相手をするにゃ」



 よく見るとニャーだけでなく、シャルも杖を構えている。



「く、くそ、覚えてろよ!」



 あっさり剣を受け止められたアンドリューは捨て台詞を吐くとそのまま逃げていった。

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