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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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【詳細鑑定】の強化

 どうやらミーナの父親によるともう一人の婚約者候補は約十日間ほどダンジョンに潜りに行ったらしい。


 それならとこの十日間は自分を強化することに使うと決めた。

 まだ本調子ではないシャルは宿で休んでいるらしい。


 ということで俺はニャーと向かい合い、特訓を始める。




 一定距離離れて木劍を構える。

 そして、ニャーに目で合図を送るとお互いがほぼ同時に動き出した。

 動きの速いニャーは一瞬でも視線を外すと見失ってしまいそうだ。


 しかし、いつも後ろで見ているときは全く見えないその動きもこうやって対峙すれば意外と見える――。



「いたっ!」

「もう、ご主人様ぁ、ちゃんと避けないとダメなのにゃ」



 目で見えるからといって避けられるものでもなかった。

 俺は躱すことも出来ずにニャーの木剣を頭で受け止めることになった。



「も、もう一回……」

「大丈夫なのかにゃ?」



 ニャーが心配してくれる。

 でも、このままなにもできずに役立たずになるのは嫌だった。


 俺は必死にニャーの攻撃を避けようとするが、十回訓練しても一度たりとも避けることができなかった。



「はぁ、はぁ……」

「もうやめるにゃ……、ご主人様がこんなことしても意味ないにゃ」



 俺はその場で倒れこむ。すると心配そうにニャーが覗き込んでくる。



「なかなか……むずかしいな」

「ご主人様は戦う才能がないのにゃ」



 ニャーにはっきりと言われてしまった。それを聞いて俺は落ち込みそうになるが、ニャーの言葉はそれだけでは終わらなかった。



「それよりご主人様は目が良いのだからそれを鍛えるといいのにゃ」



 目……あぁ、【詳細鑑定】のことを言っているのか。

 たしかに俺にはそれしかないもんな。 



「たとえば相手の弱点とかまでわかるようになるともっと楽になるのにゃ」



 そういえばそうだな。いつも鑑定所で使っていた程度までしか調べていなかったけど、この【詳細鑑定】はどのくらいまで調べられるのだろうか。

 それ次第ではもっと役に立てるかもしれない。


 試しに俺はニャーに【詳細鑑定】を使ってみる。



【白色冒険者証、レベル5】

【短剣術、レベル3】

【瞬間加速、レベル1】

【運の良さ、レベル1】

【気配察知、レベル3】



 いつもの【詳細鑑定】だ。少し能力が上がっているがその辺は気にしないでおこう。


 そこから更に弱点を知りたいと念じるように見ていく。

 すると、別の表示も現れる。



【少し打たれ弱い】

【力が弱い】



 もしかしてこれがニャーの弱点?

 ってこれはわざわさ【詳細鑑定】しなくてもわかっていたことだ。

 ただ魔物相手にも使えるなら結構使えるかもしれないな。


 そんなことを考えながらより実践で使う方法がないかをニャーと一緒に考えていった。




 そして、十日後。

 どうやらミーナの婚約者候補が戻ってきたと言うことで俺たちはミーナの屋敷に呼ばれた。


 一体どうやって決めるのだろうか?


 不安が少し脳裏をよぎる。

 応接間へと案内された俺たち。

 緊張した面持ちでじっと待っているとミーナの父親が中に入ってくる。そして、ミーナもきちんと正装してやってきた。

 これであとは婚約者候補というのを待つだけだけど……。


 そう思っていたときに執事の人がやってくる。



「アンドリュー様がいらっしゃいました」

「通せ」

「はい、かしこまりました」



 ミーナの父親が執事の人に言う。

 すると頭を下げたあと、執事の人は再び部屋を出て行った。


 いよいよか……。

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