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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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冒険者レベル【5】

 倒れたシャルを抱えながら俺たちはワープポイントの上に乗った。

 そして、地上へと戻ってくるとちょうど入り口付近で男の人と肩がぶつかってしまう。



「すみません」

「けっ……」



 舌打ちをして、何も言わずにダンジョンへと入っていった。

 少し小ぶりな体型。キラキラと新品のように輝いた銀の鎧、腰に刺さった細身の突剣。

 そのどれもがこの男が冒険者じゃないと言っているようだった。


 貴族の人が道楽でダンジョン探索でも始めたのだろうか?

 そんなことを思い、俺は【詳細鑑定】を使用する。



【冒険者証、レベル5】

【運の良さ、レベル1】

【金運、レベル5】



 戦闘スキルも持たないのに冒険者レベル【5】なのか……。【5】といえば、俺たちが今倒してきた地下十階層の魔物を倒さないともらえないのに……。


 いや、【金運】スキルがあるからなのか……?

 よく見ると他のパーティメンバーは皆強そうな人たちばかりだ。

 なんとなく【金運】はもらえるお金が増える……とかのスキルっぽいし、【運の良さ】はニャーで散々体験していた。


 この人一人いるだけでそんな恩恵が得られるのなら……まぁ引く手数多なのは間違いないだろうな。


 ただ、戦闘でのスキルは俺以下なはずだ。


 簡単に見た【詳細鑑定】ではこの位しかわからなかった。


 まぁ、通りすがりに知らない人を【詳細鑑定】するのもトラブルの元だし、気にしないでおこう。


 それより、まずはシャルを……。


 宿へ向かおうとすると背中を軽く突いてくる。



「私は大丈夫ですから早くミーナさんのところに……」



 元々魔法の使いすぎで倒れたんだもんな。休めば良くなるか……。


 ということで俺たちはそのまま、まずは冒険者組合へとやってきた。十階層のスケルトンを倒したので冒険者証を更新すればレベル【5】になるはずだ。



「お待たせしました。冒険者レベルが上がりましたので、書き換えさせてもらいました」



 受付のお姉さんがそう言って俺たち四人分の冒険者証を渡してくるので、早速中身を確認する。



冒険者レベル【5】

【名前】 ハクトール

【年齢】 18

【性別】 男

【使用武器】 剣

【所持スキル】 鑑定



 おっ、しっかりレベル【5】へと上がっている。これならミーナの父親も納得してくれるだろう。

 それだけ確認すると俺たちは意気揚々とミーナの家へと向かっていく。




 扉のノッカーを叩き、中にいる執事の人に応接間へと案内される。

 この辺りはいつもと同じだ。

 しかし、今回は要件を言う時に冒険者証も一緒に見せていた。


 すると執事さんは慌ててメイドを呼び出し、何かを伝えていた。

 その後、メイドが慌てて何処かへ行ったところを見ると俺がしっかりダンジョンの十階層をクリアしてきたのがわかったのだろう。





 そして、相変わらず威圧感のある視線を送ってくるミーナの父親がやってくる。



「お主らは……。そうか、なら早速で悪いが冒険者証を見せてくれるか?」



 静かに言い放つミーナの父親。

 俺は冒険者証を渡す。すると、ミーナの父親はそれをじっと見た後

、顔をほころばせた。



「そうか……、このスキルで良く十階層まで到達できたな。あい、わかった。お主もミーナの婚約者候補と認めよう」



 あっ、複数いるから候補になるのか。



「ちょうどもう一人の婚約者候補がダンジョンに潜りに行ったところでな。また帰ってきたら連絡させてもらおう」



 うまく話がつけられたようだ。

 これであとは……俺自身もそろそろ鍛える必要があるだろうな。


 ダンジョンに潜った際、今回は指示出ししかできなかった。

 せめて俺に何かスキルがあれば……。

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