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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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地下十階層

 そして、魔物の巣窟だった部屋の先に下へと降りる階段を発見する。



「シャル、まだ魔法は使えそうか?」



 さすがに予想以上に魔法を使ったせいでシャルはしんどそうにしていた。しかし、それでも健気に笑顔を見せてくれる。



「は、はい、大丈夫ですよ」



 しかし無理をしているのは簡単に見て取れる。

 この先が目標の地下十階層ではあるが、少しくらい休憩を取るべきだろうか?



「ミーナさん、助けるんですよね?」



 その言葉に負けた俺は休憩は取らずにそのまま次の階層へと向かう。




 目的の地下十階層……そこは五階層と同じく広い空間と魔物が一匹いるだけだった。



『スケルトン、レベル15』

【剣術、レベル10】

【回避、レベル8】

【瞬発、レベル8】



 見た目は弱そうな鎧を着た骸骨……しかし、その強さは隠されたスキルにあった。



「あいつ、かなり強いぞ!」


 俺はそう言って皆に注意を呼びかける。

 その後に倒し方を考える。

 やはり、一番使えそうなのはシャルの聖魔法だ。

 あとは倒すに至らない気がする。


 しかし、今のシャルにあいつを倒すだけの力が発揮出来るのだろうか?

 少し不安になる気持ちを抑え、対峙方法を考える。



「ニャーは無理に斬りかからなくていい。相手を攪乱しろ!」

「わかったにゃ」


 相手の【瞬発】スキル。おそらくこのレベルならニャーでも捉えられそうな気がした。

 スケルトンは毒が与えられない相手なわけだから、ここは無理をしないでもらおう。


「次はミハエル。今回は俺と協力してもらうぞ!」

「いいだろう。どうすればいい?」

「あくまでメインに戦うのはシャルだ! 俺たちはシャルの魔法が当たるようにあいつを攻撃する」

「あぁ、わかった」



 さすがに目標の十階層で、しかも、目の前にいるのが強い魔物……ということもわかるのだろう。

 ミハエルもおとなしく聞いてくれる。あとは――。



「シャル、聖魔法を頼めるか?」

「はい……、大丈夫……です」



 やはり休憩を取っておいた方がよかった。そう思えるが、ここまで来ては仕方ない。

 シャルが杖を構えたのを見て、俺はスケルトンに向かって行った。


 まず、ニャーがスケルトンに数度斬りかかる。すると、スケルトンが手に持つ剣でニャーに斬りかかる。

 それをニャーが躱すが、避けきれずに頬を少し切っていた。

 おそらくダンジョンに潜ってから初めての傷、ニャーの顔に驚きと恐怖が浮かぶ。



「ニャー、大丈夫か?」



 俺はミハエルと共にスケルトンに斬りかかった。

 しかし、【剣術】スキルを持つミハエルとは違い、俺の攻撃はあっさりとかわされる。

 ミハエルのほうもスケルトンのほうが【剣術】スキルが上と言うこともあるのだろう。

 あっさりと振りかぶった剣を受け流され、そのままけりを入れられて、後ろに仰け反っていった。



「大丈夫か?」

「あぁ、この程度問題ない」



 蹴られた部分を手で押さえながら起き上がるミハエル。

 強い、どうする?

 俺たちが飛ばされたあと、ニャーが一人頑張ってスケルトンと相対していたけど、次第に体に傷を作っていった。



「ハクさん、そろそろ……いいですか?」



 まだ隙らしい隙が出来ていないので、もう少し待って欲しいと思うが俺たちにこれ以上手はない。

 仕方なく俺はシャルに向かって一度頷いた。



「△△○□、ホーリー」



 そう唱えるとスケルトンが光に包まれていく。

 しかし、すぐにスケルトンの動きが止まることはなく……、シャルの近くまで寄っていく。

 何度も俺たちが攻撃を加えようとしたが、それを避けてシャルの頭を目掛けて……そこでスケルトンの姿が消えてくれた。


 ぎ、ぎりぎりだった……。もうダメかと思った……。


 俺たちは座り込んでお互いの無事を祝ったが、シャルだけはそのまま倒れてしまった。

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