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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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地下九階層

『麻痺毒の牙』

【麻痺、レベル1】



 落ちていたのはニャーの武器になりそうな素材だった。

 これならと俺は落ちていた素材を拾う。

 そして、先に進んでいくとついに隠れた階段を発見した。



 クルードフダンジョン、九階層——ここは地下一階層とよく似た三メートルほどの通路と大きな空間の部屋で構成されていた。

 しかもここに生息する魔物はゴブリンらしい。

 これなら楽勝じゃないかなと思ったが、実際にゴブリンを見た途端にその考えは吹き飛んでしまった。


 確かにゴブリンだ。

 ただ鎧のようなもので身を包み、重厚な剣を構えているものがいたり、弓のようなものを持っているものもいるし、しまいには杖のようなものを持って、ローブを着ているゴブリンまでいた。


 これはさすがに骨が折れそうだ。


 ゴブリンを見た瞬間に俺が抱いた感想がそれだった。


 さすがにあまり近づいて見るわけにもいかず、【詳細鑑定】までは使わなかったが、あまり会わないにこしたことはないだろう。


 ゴブリンがいない所をまっすぐに進んでいく。


 分かれ道とかにつくと片方にはゴブリンがいて、片方にはいないといったことが多々あったのだ。


 ただ、それが三たび続くと少し不安になってくる。



「なんか変だな……」

「そうかな?」



 シャルが首をかしげる。しかし、俺以外にニャーもいち早く異変に気づく。



「何か変にゃ」

「そうだよな。ここまで魔物がいないとなると……」

「逆にゃ。この先、すごい数の魔物がいるにゃ」



 ニャーがいうなら間違いないだろう。もしかして、その魔物がいる部屋に誘導されていたのかもしれない。

 俺はそのことにいち早く気づいたニャーの頭を撫でてやると来た道を引き返していった。


 さすがに大量の魔物と戦うなら数匹のゴブリンと戦ったほうがましだからな。


 そして、分かれ道のところまで戻ってくると、ゴブリンがいる方に進みつつ俺は【詳細鑑定】を行う。



『ソードゴブリン、レベル3』

【剣術、レベル2】



『キャスターゴブリン、レベル2』

【火魔法、レベル1】



 この階層の魔物にしてはあまり強くない。

 もしかすると先ほどの部屋にいた魔物たちが強いのかもな。


 そんなことを思いつつ指示を出す。



「ニャーはあの杖を持ってるゴブリンを狙え! 攻撃させるな。ミハエルはもう一方の剣を持ってる方を頼む」

「わかったにゃ」

「ふん、なんで俺が……」



 素直に聞くニャーとあくまでしぶしぶ従ってくるミハエル。

 そして、苦戦することなくあっさりと倒してしまう。



「ふん、手応えがないやつが……」



 確かに物足りない気もするが、こんなものなのかもしれない。


 そして、今度は逆に分かれ道のゴブリンのいる方ばかり進んでいく。


 ゴブリンたちは基本見えるところにいたため冒険者たちから避けられてたのか、あまり高いレベルのものはいなかった。

 それは三匹いた時に俺が一匹相手にしたが、それでも倒せたことでよくわかった。


 しかし、大体の場所は回りきったが、階段は見つからなかった。



「あとは……あの部屋か」



 残っているのはニャーが大量の魔物がいると言っていた部屋だけだった。

 もし、この部屋に階段があるのなら……いかないとダメだよな。


 ただ、無理に相手にすることもないな。



「ニャー、この先にいるのは魔物だけか?」

「そうにゃ。間違いないにゃ」



 それなら安心して魔法を放てるな。



「シャル、この先の部屋めがけて魔法を放ってくれるか。できるだけ強い威力でな」

「は、はい。わかりました」



 シャルが杖を突き出して呪文を唱えてくれる。

 ここからはどういった魔物がいるのかわからないが、シャルの魔法なら安心だろう。


 そして、杖の先から火の玉が飛び出して、それが先の部屋へと入っていく。

 そのあと、獣の咆哮のようなものが数種類聞こえ、こっそりと中を覗いてみると中には焦げたあととたくさんの魔石が転がっていた。

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