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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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地下六階層、七階層

 俺たちは早速ワープポイントを使い、地下六階層へとやってきた。

 いくつも穴の空いた空間……ここで足を踏み込むとまたタイラントワームが襲ってくる。

 しかし、今回は対策を取ってきた。



「さぁ、ここはミハエルの出番だ!」

「おう、任せておけ」



 自信たっぷりに答えるミハエル。

 そして、その穴目掛けて水魔法を全力で放つ。



「△△□◯、ウォーター」



 これで穴の中からタイラントワームが出てくるはずだ。

 俺たちは周りに注視する。すると、ニャーがつぶやく。



「くるにゃ……」



 水は苦手なのか、タイラントワームたちが慌てて穴から飛び出てくる。がその数がとてつもない……。ちょっと予想外かも……。

 そう思ってるとシャルが俺の服の裾を引っ張ってくる。



「どうしたの?」

「私、いってもいい?」



 シャルに何か考えがあるようだ。せっかくなので任せてみよう。



「あぁ、任せた」

「ありがとう」



 早速シャルは杖を突き出して呪文を唱える。



「△△◯□◯、ファイアー」



 以前見せたことのある複数の小さな火の玉を出すシャル。しかし、その数が全然違った。

 タイラントワーム以上の火の玉がそのまま襲いかかり、辺りには魔石だけが残された。


 それだけではなく、これだけ大きな魔法を使った割にシャルに余裕があるように見える。

 もしかしてと思い、俺は【詳細鑑定】を使用してみる。



【白色冒険者証、レベル4】

【聖魔法、レベル2】

【火魔法、レベル3】

【魔法威力強化、10倍】



 やはりシャルの火魔法レベルが【3】に上昇していた。

 これならミハエルの魔法は必要なかったか?

 いや、穴からタイラントワームを出すためにどうしても魔法を使う必要があったからな。


 これはこれでよかっただろう。そう考えることにして、魔石だけを拾い俺たちは下の階へと降りていった。




 クルードフダンジョン、第七階層——ここは普通に歩くのがいっぱいいっぱいの幅二メートル程度しかない通路がアリの巣のように広がっていた。



「これは……階段を探すのは厳しいかもしれないな」



 俺たちはミハエル、ニャー、俺、シャルの順にこの迷路を進んでいった。

 この通路幅のせいでニャーの速さがいかせないからだ。


 それなら攻撃がより強いミハエルを置いたほうがなお良いだろうという判断だ。


 しかし、道はややこしいのに魔物の姿がまったく見えないのはなぜだろう?

 所々天井部分に穴が空いていたり、水で湿っていたりするのはこの階層の特徴だろうか?


 そんなことを思いながら階段を探して歩く。

 それでも魔物は出てこない。



「魔物……いませんね」



 シャルが後ろから話しかけてくる。



「うん、そうだな。ニャー、なにか感じないか?」

「まったくにゃー」



 ニャーがそう言うなら間違いないだろうな。

 もしかして、この階層には魔物がいない? そんなことないよね。



「おい、気を緩めるな。ここはダンジョンの中だぞ!」



 ミハエルがイライラとした様子で話してくる。



「まだ先は長いんだ。ずっと気を張っていてはいざという時に力が出せないぞ」



 俺がそう言うとミハエルはフンッと振り向いて進み始める。

 まぁミーナのことがあるから力を貸してくれているがなれ合うつもりはないと言うことだろう。


 仕方ないか……力を貸してくれているだけマシだと思おう。


 そう思いながら歩いて行く。

 想像以上に時間はかかったが下に降りる階段を発見する。

 しかし、魔物は一体も現れることはなかった。



「あっ、もしかして、ここに住んでいたのもタイラントワーム……だったとか?」



 シャルがそう呟き、俺はハッとなる。確かにこの穴、タイラントワームが進んでいた穴と言われたら納得出来るかも。あんな大きな魔物とこんな狭い通路で対立……そう考え、少しゾッとなった。

ブクマ、評価等をしてくださってありがとうございます。大変励みになっております。今後とも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

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