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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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コンビネーション

 それから俺たちは毎日五階層へと赴いて、コンビネーションの特訓を行った。

 さすがに四階層のロック系の魔物ではコンビネーションを試す前に倒れてしまう。

 ということなので俺たちはオークの連戦を行っていた。


 しかし、魔法を使いながらニャーの攻撃を生かす。そんな行動はできなかった。


 やはり、一旦ニャーには離れてもらって、それで撃つ。

 それしかないかな……。

 そんなことを考えながら戦っていると今までしてこなかったオークの手に持つ棍棒を投げてくる……という行動に対しての反応が遅れてしまった。



「危ない!」



 シャルが声を上げるが、とてもかわしきれない。

 ニャーもその素早い動きで俺の下に寄ろうとするが、追いつかないだろう。


 あの棍棒……当たったらとても正常ではいられないだろうな。


 そんなことを思っていると突然目の前に炎の壁が現れ、棍棒を燃やし尽くしてしまう。

 それも一瞬で……。


 今のは?


 俺は辺りを見る。すると俺の方に手を突き出したシャルの姿があった。



「はぁ、はぁ……」



 少し息を荒げているのは急に魔法を使ったからだろう。

 やはりシャルの魔法の威力は最高だ!


 いや、俺は思い違いをしていたのか? なんで高威力を放てるシャルと相手より速く動いて撹乱するニャーを同時に戦闘させようとしていたんだ?


 他に戦い方はあるだろ!


 ちょっと視野が狭くなっていたのかもしれない。俺は反省し、それぞれ指示を出す。



「シャル、まだ魔法は撃てるか?」

「はい、大丈夫です」

「なら、全力でオークをブチ抜け! ニャーはオークが逃げないように動きを封じることに徹しろ! 魔法のタイミングはおれが言う」

「わかったにゃ」



 そういうとニャーは早速オークに斬りかかっていった。

 その間、シャルはなるべく魔法が強く撃てるように構えておく。

 そして、オークがニャーの攻撃に耐え切れず、膝を折ったタイミングでシャルとニャーに声かける。



「今だ! ニャーは離れろ!」

「はい、にゃ」



 ニャーが飛び避けたそのタイミングでシャルが呪文を唱える。



「△△◯△□、ファイアー」



 いつもより少し威力が落ちている気がするが、それでも高威力の火の玉がオークを襲う。

 元々オーバーキルだったためこれでも十分すぎるほどだ。


 オークは火の玉に包まれ、倒れた瞬間に魔石へと姿を変えた。


 やっぱり、このスタイルが一番合ってるな。

 ……あっ。


 オークを倒し終えたあと、俺はとんでもないことに気がついた。


 わざわざ特訓させてるのにミハエルが入り込む余地がない。どうしよう……。




 考えていても仕方ないため、俺たちは一度宿に戻った。

 そして、翌日。

 いつも通りミハエルを【詳細鑑定】する。



【白色冒険者証、レベル4】

【剣術、レベル4】

【水魔法、レベル3】



 ついにミハエルの水魔法のレベルが3になった。

 これでいけるかどうかはわからないが、試しに行く価値はあるだろう。

 そう思った俺はミハエルに対して一度頷く。



「っし!!」



 ミハエルはガッツポーズをしながら喜んだ。そこまで嬉しかったのだろうか。



「これでいよいよダンジョンに入れるんだな!」

「そうだな」



 これでようやく地下六階層のタイラントワームとまともに戦えるだろう。


 そのあとはどうするか……。

 そのあたりは全く決めていないし、そもそも住んでいる魔物がわからない。

 日もなくなってきたのでなんとか攻略したいところだ。


 ただ、強さで婚約者が決まると言っていたミーナの父親。その意図を組むならば確実に今の相手と破棄させる方法……それは。



「いざという時はその相手と直接争うしかないか……」



 俺は喜ぶミハエルを横目に誰にも聞こえないようにそう呟いた。

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