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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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三人でダンジョン――地下第六階層

 ミーナの強化がなくても、その分ニャーが活躍してくれているおかげでオークを倒すことが出来た。

 シャルの火力が高いことも要因の一つだけどね。


 そして、この調子のまま俺たちは更に下、地下六階層へと足を運んだ。


 クルードフダンジョン、第六階層――そこには柔らかい土といくつかの穴が空いているだけの空間であった。


 そして、ミハエルの姿が見えないことを考えるとどうやら彼はワープポイントから帰還したようだ。

 満身創痍な姿だったのでそれは当然の判断だろう。


 それとなぜかこの空間内には人の姿や魔物の姿が見えない。

 もしかすると地上の一階層と同じで魔物が出ないエリアなのだろうか?


 まだはっきりとわからないため、少し警戒はしているが、それでも次第にそれが解けていく……。



「危ないにゃ!!」



 いきなりニャーに押された。何事かと思うと俺とニャーの間から、とても大きな芋虫のような魔物が地中から口を開けて襲ってきた。

 ニャーが押してくれなかったらあのまま食べられていただろう。そう考えると顔がゾッと青ざめる。



「ハクさん、ここは危ないです」

「あ、あぁ、とりあえず走って階段を探そう」



 再び地中に戻っていた芋虫。

 俺たちの中に地中を攻撃出来るものはいなかったので逃げるしかなかった。



「危ないにゃ!」



 走ってなんとか階段を探そうとする俺たちだが、芋虫たちはそれを的確に狙ってくる。

 今のところ反応できるのはニャーだけだが、一、二回毒牙のナイフで斬りつけるとすぐに地中に潜られてしまう。

 当然毒にはできていない。


 ただ、芋虫自体を【詳細鑑定】することはできた。



『タイラントワーム、レベル6』

【地中移動、レベル6】

【隠密、レベル3】



 確かに階層を潜ったから魔物も強くなるのは理解してるが、それでも急に強くなりすぎじゃないだろうか?


 そう思えるほどタイラントワームのレベルは高かった。

 とにかくここまで相手が強くなるならこの先の魔物なんて相手にできない。


 ミーナの【強化魔法】があったらまた状況も違ったかもしれないが、そんなことも言っていられない。


 ここは先に行くより——。



「いったん戻ろう。ニャーは周囲を警戒しておいてくれ!」

「わかったにゃ」



 ニャーに警戒させて、奇襲を受けないようにしながら俺たちは地下六階層から上に上がる階段を上っていく。




「ふぅ……、なんとか無事だったな」



 ワープポイントからなんとか地上に帰ってきた。

 すると急に緊張の糸がほぐれたようにその場に座り込んでしまった。


 やっぱり今のままではまずいな。パーティメンバーを増やすか、何か対策を考えないとこれ以上ダンジョン内を進むことができないかもしれない。


 そんなことを考えていると先に帰っていたはずのミハエルが息を荒げながら走ってきて、俺の襟元を掴んでくる。



「おい、どういうことだ!? ミーナさんが、け、け、結婚だと!?」



 なんだ、そのことか……。

 俺はその手を振りほどこうとするが、容易に離すことができない。仕方なくそのまま話しかける。



「あぁ……、そのことは本当だ……」

「どういうことだ? あの可憐な方がどうしてあんな奴と!?」

「あんな奴?」

「知らないのか? 相手はあのアンドリュー・ブリュッセルだ」



 アンドリュー・ブリュッセル……確かそれなりに名が通った——聞いたことしかないが、冒険者貴族……だったよな?


 あまりそういったことに疎かった俺はその相手の何が悪いのか、全くわからなかった。



「アンドリュー・ブリュッセルなら名が通った冒険者だし、問題ないだろ?」

「お前、奴の素行の悪さを知らないのか? 女をただの道具と思ってるようなやつだぞ! そんなやつと結婚してミーナさんが幸せになるわけないだろ!」



 熱く語るミハエルだが、さすがに結婚については俺が入ることでもないだろう。ミーナも納得して婚約しているのだろうからな。



「とにかく行くぞ! こんな結婚壊してやるんだ!」



 なぜかやる気に満ちたミハエルに引きづられていく。

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