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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第三章、ミーナの婚約
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三人でダンジョン――地下第三階層

 さすがにミーナと話した日はダンジョンに潜る気になれず、宿に戻るとゆっくりと休んだ。

 そして、次の日。



「今日はダンジョン……行きますか?」



 シャルにそう聞かれて俺は悩む。正直俺たちが地下五階層のオークを倒せたのはシャルとミーナの力に寄るところが大きい。そのミーナがいなくなって果たしてどこまで行くことが出来るだろうか?

 ニャーが増えてパーティは十分だと思ったがもう一人くらい増やしたほうが良いのかもしれない。


 そんなことを考えていたが、とにかく今は一度ダンジョンに潜って三人でどこまで出来るのかを確かめてみないことにはわからない。

 ということで俺たちはダンジョンの前にやってきた。


 一応ニャー、俺、シャル、の隊列で進んでいくが、この隊列だと後ろから急に襲われた時が弱いなぁ。

 常に警戒を怠らないようにしないと。

 俺は【詳細鑑定】のスキルをなるべく発動しながら進んでいく。


 まずは一階層、地下一階層……と進んでいくが、流石に地下一階層では困るような出来事もなかった。

 ニャーが素材から作ってもらった新しい短剣――毒牙のナイフを二本持ってゴブリンやウルフたちを切り刻んでいった。

 一本の時もその短剣捌きはすごいものがあったが、二本になるとそれは更に速くなった。

 その結果、攻撃力不足だと思われたニャーの攻撃が手数でカバーできる……までになっていた。


 そして、地下二階層……は人も多いのでスルーして地下三階層。

 ミーナがいたときはここのポイズンキャタピラーを狙っていたが、今回は流石にそこまでする余裕もないだろう。


 のそのそと現れたキャタピラー相手に俺たちは構える。



『キャタピラー。レベル2』

【糸吐き、レベル3】



 そこまで強そうな相手ではない。余裕を持って進んでいるのでそうなるのも当然だ。

 まぁ、魔法が多く撃てるようになったとはいえ、このキャタピラー相手に使うこともないだろう。



「ニャー、あいつの相手を頼む。攻撃には当たるなよ」

「まかせるにゃ」

「シャルは後方の確認、なにか危険があったら知らせてくれ」

「は、はい」



 挙動不審に周りを見渡すシャル。流石にあまり頼りにはならないだろうな。もう少し慣れてもらわないと。

 そして、俺も剣を抜き、キャタピラーに斬りかかったニャーをいつでも援護出来るように構えておく。

 一緒に斬りかかっては動きの速いニャーの邪魔になるからな。

 そうしておきながら【詳細鑑定】で相手の様子、ニャーの様子、周囲の状況を調べ続ける。


 あっ、キャタピラーが毒になった……。


 ニャーの持つ毒牙のナイフ――使っているのは毒虫の棘だが、それは斬りかかった相手を毒にさせるという効果がある。

 武器屋のおじさんがそう説明していた。くれぐれも取り扱いには気をつけるように、ついうっかり自分を傷つけると自分まで毒になってしまう……と。


 しかし、ニャーはそうならないように器用にナイフを操っている。それも二本も……。

 人と違い、魔物は状態異常のかかりやすさに差異が生じているが、それでもあの手数……早々に毒になったのも頷ける。

 相変わらず倒すまでに時間はかかるが、それでも毒のおかげでそれも少し速くなった。


 これならいけるだろう。

 倒れるキャタピラーを見て俺はそう確信する。


 そして、魔石を拾い、もう二、三度魔物と戦ったら下に降りようと考える。


 ただ、俺の確信はあっさりと崩された。

 次の相手はポイズンキャタピラーだった。


 先ほどの戦い方だといけると判断した俺は、同じ指示を出し、挑みかかる。

 ただ、普通のキャタピラーではなくポイズンキャタピラーとなると毒を持つだけでなく、微妙に体力も上がるらしい。

 しかも、ニャーの毒牙のナイフでは毒にさせることが出来ない……いや、そもそも体内に毒を持っているこの魔物を毒にすることが出来ないのかも。


 その結果、なんとか倒すことは出来たものの時間は相当かかり、なんとも歯がゆい結果となった。


報告のあった誤字を修正させていただきました。報告ありがとうございます。

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