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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第二章、奴隷の少女
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ポイズンキャタピラー

 ニャーの戦闘能力もわかったので俺たちはさっそく地下三階層を目指した。

 人が多い二階層を素通りして三階層までやってくる。


 三階層も相変わらず人が多い。いい狩り場だから仕方ないだろうな。



「それじゃあ、私たちもさっそく戦いましょうか?」



 そういってミーナが近くにいたキャタピラーと戦いそうになるので俺はあわててそれを止める。



「今日の相手はそいつじゃないぞ」

「なら何と戦うのよ」



 俺は周りを【詳細鑑定】をしながら見渡して目当ての相手を発見する。そして、指さしながらいう。



「あいつだ」

「……?」



 ミーナは首を傾げていた。それだけじゃない、シャルやニャーも何のことかと首を傾げていた。



「ただ、あのキャタピラーは毒を持ってるから気をつけろよ」



 それを聞いてミーナとシャルの表情が少し強張る。

 以前、その症状はグランが実証してくれてるからな。

 ただ、ニャーだけは何のことかわからないようだった。



「とにかく、ミーナは俺に強化を。シャルはなるべく威力を落として攻撃して。ニャーは……とりあえず攻撃に当たらないようにね」



 一人ずつ指示を出した後、俺は剣を構えポイズンキャタピラーの様子を窺う。

 パッと見た感じは普通のキャタピラーだ。大きな芋虫で必死に体を動かして移動している。


 とそのときにポイズンキャタピラーの複眼が俺たちを捉える。



「キシャァァァーー」



 次の瞬間、ポイズンキャタピラーはすごい勢いで俺たちに向かってくるので、俺は慌てて剣を振り下ろす。



「◯◯◯□、全身強化(オールバフ)

「◯◯◯◯、ファイアー」



 ミーナとシャルの呪文が飛んでくる。

 俺の体は軽くなり、ポイズンキャタピラーに一撃を与えた上でシャルの火の玉を躱して後退する。



 するとポイズンキャタピラーの口から糸のようなものが飛び出す。

 ただ、それもシャルの火の玉で燃え尽きてしまっていた。

 しかし、俺は何となく違和感を感じた。


 もしかして毒の原因って……。


 次吐いてきたときは【詳細鑑定】をしようと心に決め、俺はそのまま手に持った剣を振り下ろしてポイズンキャタピラーを倒す。




「結構あっさり倒せたわね。どこが違ったの?」



 腕を組みながら言うミーナ。



「な、何だか途中で何かしようとしていたの……」



 おどおどと言ってくるシャル。シャルはいいところに気づいている。ただ俺自身もはっきりとわからないので言葉を濁して次のポイズンキャタピラーを探し始めた。




「よし、あいつだ!」



 あのあと、俺たちは合計四体のポイズンキャタピラーを倒した。しかし、落とすのは魔石のみで他の素材を落としてくれない。

 そして、五体目と戦ったときにようやくあの口から出した正体について【詳細鑑定】することができた。



『毒虫の糸』

【毒攻撃、レベル2】



 どうやら毒の原因はこの糸のようだ。

 今回はまだ距離がある状態で吐かれたので【詳細鑑定】出来たが、そうそう戦闘中に使えないからなぁ。


 一瞬意識をそっちに持っていかれるから隙ができる。近接を戦える人物がいたら少し下がって使えるかもしれないが、今はニャーがまだ使えない。


 その結果、俺は自分の剣に集中するしかなかった。


 とそのときにニャーが待ちきれなくなったのか、俺の前に出てきて、その短剣をふるっていった。




 それなりに攻撃をしたあとだったので、ポイズンキャタピラーは倒せた。しかし、何かあったら危なかった。

 俺はニャーをしかりつける。


 すると尻尾が垂れ下がり、耳も下を向いて目に見えるほど落ち込んでいた。


 しかし、ニャーが戦闘に加わった今回に限ってポイズンキャタピラーの魔石の他に素材が落ちていた。


 もしかするとニャーが持ってる【運の良さ、レベル1】スキルが良い具合に働いてくれたのかもしれない。

 いや、それなら今後はニャーも一緒に戦ってもらえば……。いや、流石に危ないよな。

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