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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第二章、奴隷の少女
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ニャーvsゴブリン

 さっそくゴブリンが現れたのでニャーに一人で倒すように言ってみる。

 念には念を入れて俺たちはいつでも助けられるように構えている。


 ゴブリンはまだ気付いていない。いつも気付かれる前に発見出来るのは俺の【詳細鑑定】の力に依るところが大きい。

 ダンジョン内では、ちょっとしたものが見えたらすぐに使うようにしていた。



『ゴブリン、レベル1』

【剣術、レベル1】



 こいつなら適したスキルも持っていないし、危険も少ないだろうとニャーに言う。

 そして、ニャーが持つスキルについては詳しく教えずに行ってもらう。

 と言っても短剣が得意なことは武器屋に行ってわかっているだろう。

 俺が黙っていたのは【瞬間加速、レベル1】と【運の良さ、レベル1】だ。


 【運の良さ】は文字通り運がよくなるスキルだ。その上昇幅は人それぞれと言われているが、実際はこのレベル次第だ。このレベルは中々上げにくいみたいで、上がった人はほとんど見たことがない。


 そして、もう一つの【瞬間加速】だが、これは俺も見たことがない。もしかすると獣人の……それも猫族の特性なのかもしれない。

 獣人族でも犬族とかなら見たことがあるが、その時は【嗅覚】スキルなんかを持っていたと思う。

 そう言った種族スキルなのだろう。


 まずはそれなしで【短剣術】がどのくらいのものなのかを見ておきたかった。



「やるにゃ!」



 気合いの入れたニャーがゴブリンに向かって走って行く。



「は、早い!?」



 ミーナが驚いていた。しかし、動き方は単調でまっすぐに最短距離でゴブリンへと向かっていた。

 ゴブリン相手だから良いもののそれなりに知能のあるもの相手だとちょっと厳しいかもしれないな。



「にゃー!!」



 気合いの入れたニャーの攻撃がそのままゴブリンに吸い込まれていく。

 しかし、その攻撃はゴブリンによって弾かれていた。


 あれっ、ゴブリンってそんなに硬くないはずだよな?


 そんな疑問が浮かぶ。

 ただ、ニャーの攻撃はそれだけに終わらず、ゴブリンに攻撃させる暇も与えずに連続で攻撃を加えていく。


 数発加えたときに、ゴブリンが自身の持っている棍棒をやたらめったに振り回してくる。

 しかし、ニャーはいつの間にかその攻撃が当たらない範囲にまで下がっていた。


 当てた感触がないゴブリンが少し困惑したタイミングでニャーはさらなる攻撃を加え、ようやくゴブリンを倒すことができた。


 ただ、すごくいい勝負してたけど、相手ゴブリンだよね?


 俺は少し困惑しながら、嬉しそうに尻尾を振って魔石を拾って戻ってくるニャーを眺めていた。




「この子は使い物にならないわ!」



 ニャーの戦闘が終わった後、ミーナがはっきりと言い放った。

 確かに俺も同意見だが、あれだけの手数でしかも相手の攻撃が当たらない。状態異常の短剣が手に入ったら化けるかもしれない。


 そう思い、少し逆毛を立たせてるニャーの首元をなでる。するとニャーは嬉しそうに目を細めていた。



「いや、そのために武器を買いたいんだ。今から取りに行く素材さえあればこの子はもっと化けるからね」

「そうにゃ、そうにゃ」



 せっかく俺が説得してるんだからニャーは煽るのをやめてほしい。

 そして、ミーナは少し考えて結論を出す。



「そうね。確かに動きは素早いから戦闘以外でも活躍できるわね。ごめんなさい、余計なことを言って……」



 素直にニャーに謝るミーナ。するとニャーは能天気な笑顔を見せていう。



「何も気にしてないにゃ」



 いや、ニャーは気にしてほしい……。

 まぁスキル持ちなんだから、俺よりはすぐに強くなってくれるはずだ。……なってくれるよな?


 笑顔のニャーを見て一抹の不安を隠しきれなかった。

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