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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第二章、奴隷の少女
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ニャーの武器

 ニャーの食事が終わったあと、俺たちは目標の武器屋へとやってきた。

 ここは値段がそこそこながらそれなりにいい物が揃っている。

 しかも、素材の持ち込みをすると格安で武器を作ってくれるというサービス付きだ。

 以前シャルの杖を買ったのもこの武器屋だ。

 場所はこの町の中でも少しわかりにくい場所にあるため、知る人ぞ知るお店となっていた。



「ここはなんのお店かにゃー?」

「ここは武器屋さんですよ」



 シャルがニャーに説明してくれている。

 明日からダンジョンに潜るわけだから武器は絶対に必要だ。スキルを考えると短剣を選んでほしいところだけど、やはりニャーにあったものを買わないと意味がないだろう。


 しかし、お金が……。

 俺は少なくなった袋に入ってるお金を見てため息を吐く。するとそれを見ていたシャルが「私の分もありますから」とさりげないフォローを入れてくれる。


 武器屋に入ると強面で筋骨隆々の男が出迎えてくれる。

 いきなり出てこられたのに驚いたのか、シャルは俺の後ろに隠れ、ニャーは肌の毛を立たせ、爪を見せて威嚇をしていた。



「いらっしゃい……」



 武器屋の男はそれだけ言うと背を向けて店の奥に入っていった。


 その方が邪魔をせずに店内のものを見てもらえると知っているのだろう。

 男は椅子に座るとくつろぎ始めた。



「それじゃあ気を取り直して武器を見ようか」

「ニャーはどんな武器を選んだらいいのかにゃ?」

「好きなものを選んだらいいぞ」

「と言われても武器なんて使ったことないからわかんにゃい」

「なら、これなんてどうだ?」



 ニャーがわからないようなので、俺は置かれていた短剣を渡してみる。

 するとニャーは目を見開いて少しその場で振るってみせる。



「にゃにゃっ!?」



 それが思いの外流れるような動作で使えたことにニャーは驚きの表情を見せた。



「凄いですね。目で追えないですよ」



 ニャーのその短剣さばきにシャルは感嘆の声を上げる。

 確かにこれなら戦闘で使う分にも問題なさそうだ。さすがスキル持ち。



「これいいにゃ。これにするにゃ」



 ニャーは嬉しそうに言ってくる。ただ、ニャーの持っている短剣は安物であった。本当にこれでいいのか?

 【詳細鑑定】でものを調べてみる。



『鉄の短剣』

【攻撃力上昇、極小】

【速度上昇、極小】



 物自体は悪くなさそうだ。ただ、短剣の他のものには変わったスキルがついていた。

 【毒】スキルや【麻痺】スキル、【石化】スキルなんていうものもあった。こういったものは決まって値段が高いのでとてもじゃないが買えなかった。


 しかし、あれば便利だよな……。


 最後まで未練たらしく見ていると武器屋のおじさんが立ち上がり言ってくる。



「この短剣の素材ならダンジョンで取れるぞ。その攻撃をしてきた魔物を倒してみるといい。その素材があるならあとは短剣プラスアルファの値段で作ってやる」



 今書かれてるスキル付き短剣の値段が金貨一枚だった。

 そして、ニャーが持っていたものは銀貨一枚、それプラスアルファということは銀貨二、三枚でスキル付き短剣を作ってくれるということだ。


 ただそういった攻撃をしてきた魔物と言われても……。

 俺は少し考え、そして、ある魔物を思い出した。


 ポイズンキャタピラー。

 グランを毒にした地下三階層の魔物。

 もしかするとあの魔物が落とした素材を使えば【毒】スキルの短剣が出来上がるのかもしれない。


 それなら……と俺はニャーに短剣を買ってあげて店の外に出た。


 これであとは……服もいるか。

 ニャーの服装はボロボロになったワンピースだった。


 さすがに服装も買わないといけないが、俺がついていってもわからない。

 仕方ないので店の前まで来るとシャルに全てを任せて、店の表で買い物が終わるのを待った。

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