ミッドランド王国到着
ミッドランド王国までやってきた。
数十日ほどの距離を馬車で何もせずにのんびり移動するのは久々だったので、ゆっくりできた気がする。
「やっとついたのかにゃー? もう暇なのはいやなのにゃー」
馬車の中でゴロゴロしていたニャーはのんびりするのがいやだったようで、すっかりグデーっと伏していた。
「あの町がそうなのですか?」
ようやく見えてきたミッドランド王国の城壁を指さすシャル。
「あぁ、入ってた地図によるとそうみたいだな」
ただ、城壁が町を覆い隠してしまうほど大きな城塞都市なのに不穏な雰囲気が漂っているのはどうしてだろうか?
「にゃんだか、人の気配がしないねー」
「でも、町に向かう人はちゃんといますよ?」
シャルの言うとおり、俺たちの前を走る馬車とかしっかりと人が向かってる。にもかかわらずニャーが言っているようにあまり人の気配らしいものがしなかった。
「とにかくもっと近づいてみないとなんともいえないな」
鑑定をするにも対象が見える範囲まで近づかないと何もわからない。
「それよりもご飯にゃー! 早く普通のご飯が食べたいのにゃー!!」
足をばたつかせるニャー。
「そうだな。とりあえず町の中に入るか。えっと……、門番にこの手紙を見せたらよかったんだよな?」
「そうみたいですね。えっと……、まずはこの列に並ばないといけないですね」
町の中に入るために長い行列ができていた。
その理由はどうやら一人一人細かいチェックをしているからみたいだ。
仕方ないので俺たちもその最後尾に並んでいた。
そして、半日ほど待っているとようやく俺たちの出番が回ってくる。
さすがに長いこと待ちすぎたようでニャーはすっかり眠りについていた。
「次だ、身分証になるものを出せ!」
やけに横暴な門番が出てくる。
その態度に少しムッとしながらも手紙を渡す。
「なんだ、この手紙……は……。っ!? ちょっと待ってろ!」
慌てた様子で門番が奥の部屋に入っていく。
そして、今度は二人で戻ってくる。
「あなた様が鑑定の……。こちらに来てください。少々お話ししたいことがございますので」
「話したいこと?」
「ここではその……お話ししにくいことになりますので」
新しく来た門番が後ろに並んでいる人の方をちらっと見る。
「わかりました。そういうことでしたら……」
そう言いながらも俺はこの門番を鑑定していた。
ただ、この男からは特に怪しい表示は見つからなかったので、ひとまずは信用して良さそうだ。
「ではこちらに来てください。今後の話をさせていただきます」