ミッドランド王国へ
新章が始まります
しばらく俺たちと行動を共にするようになっていたラインは次第にその表情が穏やかなものに変わっていった。
これなら一緒に行動しなくても大丈夫だろうか……と思ったときに突然俺たちの元に手紙が届く。
そこには
鑑定使いの冒険者様
貴方様にお願いしたい依頼があります。
つきましてはミッドランド王国まで来ていただけないでしょうか?
来ていただけるのでしたら門番にこの手紙をお渡しいただけますと私に取り次いでもらえるようにしておきました。
貴方にしか頼めないことがあるので、よろしければお願いします。
ただ、あまり大人数だと困る依頼でもありますので、出来れば3人くらいで来ていただけますとありがたいです。
差出人の名前すら載ってない怪しげな手紙。
しかも、たった三人で来てくれと言う。
乗るべきか乗らざるべきか……。
そんなことを思っていると鑑定画面にわかりやすい表示が出てくる。
『怪しげな効果はない』
たった一言……。ただ、何かをしようとするなら手紙自体に何かの効果を与えてくるのじゃないだろうか?
そう考えるとこの手紙の差出人はそこまで怪しい人物ではないような気がする。
「でも、三人か……。俺とシャルは行くとして……あとはニャーかな」
「うにゃ、頑張るにゃ!」
ニャーが嬉しそうに笑みを見せる。
するとミーナがどこか不服そうな顔をしていた。
たしかにこれを見る限りミーナにも付いてきて貰った方が良いんだけど、戦闘で考えると魔法使い二人と俺のパーティはあまりよくないだろう。
「ミーナはここの皆をまとめて欲しい。出来るか?」
「う、うん……。わかったわよ、私にしか出来ないのなら頑張るわ」
ミーナはそっぽを向きながら、それでいてどこか嬉しそうに答える。
その様子に苦笑しながらニコルやラインにも話しかけてる。
「ニコルとラインも俺が帰ってくるまでは無茶をするなよ。もうしないと思うが念のためにな」
「あぁ、大丈夫だ。何かあっても俺が守ってやる」
ラインは自分の胸を叩いてむせていた。
それを苦笑しながら眺めているとニコルが不安そうに言ってくる。
「ハクトールさんも無茶はしないでくださいね」
「あぁ、それは大丈夫だ。それに俺だけじゃないからな」
「うん、でも気をつけてくださいね……」
顔をしかめながらニコルは俺の頬にそっと口づけをしてくる。
「「「あっ!?」」」
それを見て他の皆は思わず声を漏らしていた。
「それよりさっさと出発するか」
「そ、そうですね、わかりました」
ギュッと杖を握りしめるシャル。
ニャーは何もわからないようでキョトンとした様子だった。
「でも、ミッドランド王国ってどこにあるのですか?」
シャルのその一言で俺たちは固まってしまった。