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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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武器の購入

 早速俺たちは魔力の水晶を売りに行った。


 やはり聞いていたとおりに渡したのがこの水晶の一欠片だけだったがかなりの金額で売ることができた。


「これでラインの新しい装備が買えるな」

「……いいのか? 俺のを買うより兄ちゃん達の装備を買う方が戦力の強化にならないか?」


 ラインが言いたいこともよくわかる。

 でも、そもそもシャルは武器を必要としてないし、俺自身は武器を強化したところでそれほど能力の向上にならない。


 他のみんなも今すぐに武器が必要になるような子はいない。

 ラインを除いて……。


「いや、今はラインの武器を買う方が大事だな。遠慮することはないから自分に合ったものを買うと良い」

「……わかった」


 渋々と言った感じだが、ラインは頷いていた。

 じっくりと武器を見ていくライン。その表情は真剣そのものだった。


 それを見ながら俺も自分の装備を見ていた。

 能力自体は上がらないが、ずっと使っているものなので壊れたりはするし、安いときに買い換える必要があった。


 ただ、この店に置かれている武器は特別安いものではなかったので買うのをあきらめる。


 そして、真剣な表情をしているラインの隣にやってくる。


「こっちの鉄の剣は値段がお手頃だが、重くて使いにくい。こっちの炎の短剣は値段は張るものの切りつけた場所を燃やすという特殊効果がある。しかも短剣だと使いやすい。でも、値段がなぁ……」


 ラインが二本の剣を隣に並べてあごに手を当てて悩んでいた。


 どちらも特殊な効果はない普通の剣だった。


 ……あれっ?


 今、ラインはなんて言っていただろうか?

 炎の剣は特殊効果がある?


 そんなこと、俺の鑑定には表示されていなかったし、少なくともこの剣がその効果を持っているはずがなかった。


 それを見た瞬間にこのお店が妙にうさんくさい場所のように思えてしまった。


「ライン、決まらないなら次の店に行くか」


 あまりこの場所に長居したくないとラインに声をかける。

 シャルは俺の側に戻ってきていた。

 やっぱりこういった武器屋はあまり興味がなかったようだ。


「あっ、ま、待ってくれ! 今決める――」

「いや、何もここで決める必要はないんだ。いろんな武器屋を見て回ろうか」

「そ、そうか……。うん、それなら今行くよ!」


 迷っていたラインだが、俺の言葉を聞いて目を大きく見開いていた。

 そして、慌てて俺の側に寄ってくる。

 店を出て行く俺たちを見て、店員さんが舌打ちをしたのを俺は見逃さなかった。


 やはり、質の悪いものを売りつけようとしていたんだな……。


 あのときラインが悩んでなかったら気づかなかったかもしれない。それだけは彼に感謝しておこう。

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