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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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魔力の結晶(2)

 どうやら高魔力を放っているのはこの水晶のようだった。

 周りを見てみても他に魔物がいる様子はない。


 ためしにこの水晶を鑑定してみる。


『魔水晶』

 《高魔力》


 やはりただの道具のようだ。

 特性は高魔力……。一体どんな効果があるのか見当もつかないがせっかくだし貰っていくか。

 ただ、問題はその大きさだ。

 さすがに簡単には持ち運びできるサイズではない。


「シャル、あの水晶を壊せるか?」


 もしかしてシャルなら壊せるかもしれないと思い聞いてみる。


「うーん、全く壊せる気がしないけど、魔法を使ってみましょうか?」


 俺が頷くとシャルは魔法を使ってくれる。


「ファイアー!!」


 シャルの魔法を見てラインは口をぽっかりと開けて驚いていた。


 というのも今回のシャルは全力で魔法を使っていた。魔法威力が十倍になるシャルが本気になるのはあまりないもんな……。危ないし。


 そんなシャルが本気で出した火の玉が魔水晶目掛けて飛んでいく。


 ドゴォォォォン!!


 大きな爆発音があたりを響かせる。

 その爆風が俺たちを襲う。


「シャル、ライン、一応俺の後ろに隠れてろ」

「はい、ありがとうございます」

「お、おれはこのくらいの爆風……」


 ラインは一人で耐えようとしていたが、結局耐えきれなくなって俺の後ろに隠れていた。

 そして、ようやく爆風が止む。

 すると、そこにはひびは入っているものの形そのままに残っている魔水晶の姿があった。


「あと何発か打てば壊れるか? シャルはまだ魔力あるか?」

「はい。大丈夫です」


 強がりでも何でもなく、まだシャルの魔力があることを確認した後、もう一発魔法を放って貰う。


「ファイアー!!」


 再びシャルが魔法を唱えてくれる。

 ただ、完全とは行かないようで先ほどより威力は弱そうだった。

 それでもシャルの魔法なのでかなりの威力を誇っている。


 それが魔水晶に当たった瞬間に激しい音が鳴り、魔水晶が粉々に砕け散っていた。


「よし、それじゃあこれを拾っていくか」


 床に散らばった魔水晶を拾えるだけ拾うとそれを持ったまま俺たちはダンジョンを出て行った。


 そして、俺たちはまっすぐに家へとは戻らずにまずは鑑定所に寄ってみることにした。

 俺の鑑定ではものはわかったが、この魔水晶の価値自体はわからない。

 それならば他に詳しそうな人がいる鑑定所に行くべきだろう。

 そう感じたので鑑定所へとやってきた。


「おっ、ハクトールじゃないか。今日はどうしたんだ?」


 鑑定所の職員が声をかけてくる。


「この魔水晶を見たことがあるか?」


 その職員に先ほど拾った魔水晶の一つを手渡す。


「これは……本物か?」


 頷くと信じられないものを見る目つきで俺のことを見てきた。


「これはダンジョンで特に魔力が濃い場所にできると言われる魔水晶だ。効果自体はそれほどなかったはずだが、どちらかと言えば貴族の装飾等に使われる高価な品だ。売ればかなりの額になるはずだぞ」


 それは助かるな。人数が増えてきたから金は多めにないと困るもんな。

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