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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第一章、クルードフダンジョン、第1〜5階層
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地下三階層

 警戒して見て回ってる俺たちの前にダンゴールが現れる。



『ダンゴール、レベル3』



 どうやら上の階のやつよりはレベルが高いらしいが、スキルも持っていないしそれほど強くはなさそうだ。


 いくらそれなりにレベルが高いと言ってもミーナに強化してもらった俺の敵ではなかった。

 一閃の末、ダンゴールを倒し終えた俺はシャルやミーナに笑顔を見せる。

 あまりの硬さに少し手が痺れていたのは隠して……。




 それからはなるべく戦わないように俺が調整し、できるだけ魔物に会わずに階段を探した。


 すると草陰に倒れている男の人を発見する。確かこの人はミハエルのパーティにいた槍使いの……。

 まだ息はあるようだが、泡を吹いて顔色も悪い。これは明らかにおかしい。


 俺は【詳細鑑定】を使い調べていく。見るのは普段見ていたスキルの項目ではなく、症状の欄……。



【症状、毒】



 毒!? なんで? どうして?

 この階層に毒を使ってきそうなやつなんていなかった……いや、この階層は死者が多いらしい。もしかするとこの毒がこの階層に死者が多い理由だろうか?


 とにかく治療を……。



「シャル、回復魔法で毒の治療はできる?」

「えっ? 毒ですか?」



 シャルは少し驚く。そして考え始める。



「そんな、毒なんて珍しい【聖】属性の魔法が使えないと解除できないのに」



 ミーナも驚いていた。



「私がやらないとこの人、助からないのですよね? わかりました、出来るかはわかりませんがやってみます」



 グッと気合いを入れるシャル。それを固唾を飲んで見守る俺たち。



「△□◯△、毒治療(ポイズンヒール)



 詠唱を唱え、男の人が少し輝いたかと思うと、青ざめていた顔は元の色に戻り、穏やかな顔つきになった。

 俺の【詳細鑑定】で見ても症状は治っているようだった。



「ふぅ……少し疲れました」



 シャルは額の汗を拭う。予定より精神力を使ってしまったのかもしれない。魔法を使いなれていないシャルはあまり数を撃てないからな。


 先に急ぎたい気持ちもあるが、ここら辺で少し休憩しておいたほうがいいかもしれない。



「とにかく、この人が目覚めるまでは休みにしようか」




 それからしばらく休みを取った。ミーナはそわそわしてるようだが、この先魔物が強くなるならここらで休んでおかないと乗り切れないだろう。


 すると、男の人が目を覚ましたようでゆっくりと体を起こした。



「あれっ、俺は?」



 少し困惑してる様子なので何があったのかを説明する。初めは半信半疑のようだったが、次第に記憶がはっきりと戻ってきたようだ。

 顔を青ざめ、自分の体のおかしいところを何度も探し、ちゃんと治っているところを確認すると何度も地面に頭をつけそうになりながらお礼を言ってきた。



「それより、ミハエルたちは?」

「あぁ、あいつらなら体調を悪くした俺を放って先に行ってしまったぞ! ただ人数が減ったことで速度は遅くなってるだろう。何だったら俺が手を貸してやろうか?」



 魅力的な提案にも思えるし、役立たずなような気もする……。



「どうする?」



 俺は念のためにシャルやミーナに確認してみる。ミーナは全力で首を横に振っていたが、シャルは一考していた。



「ハクさんが言うにはあの人、戦闘スキルを持ってるんですよね?」

「あぁ、槍術スキルだから狭い通路では役に立たないと思うが」

「でも、戦闘スキルのある人がパーティに入ってくれるとやっぱり戦術の幅が広がると思うんですよね」



 そうなんだよな。それに今のままではいつか限界がくるかもしれない。俺は戦闘スキルを持ってないからな。



「ただ、最後はハクさんにお任せします」

「私もハクに任せるわよ!」



 シャルはともかく、あれだけ嫌がっていたミーナも俺に任せてくれるということになった。というかいつの間にか俺がリーダー的なポジションになってるな。

 あれこれと指示を出してたのが原因だろう。


 俺は腕を組み、少し悩んだ結果「今回は一緒に来てもらう」ということで話がまとまった。


 そして、意気揚々と槍を掲げてミーナに強さをアピールする男。名前はルグランというらしい。



「グランとでも呼んでくれ」



 そう言ってきたのでこれからはそう呼ばせてもらおう。

 やはり槍は持っているが、ほとんど使ったことはないらしい。せっかくのスキルがもったいないけど、突くくらいしか使い道のない槍は使いにくいだろうな。


 とにかく、これからは魔物相手に槍で突いてもらうかもとだけ説明しておいた。


 そして、階段探しを開始した時にこの階層が死にやすいと言われる理由を理解した。

 普通に闊歩している魔物たち。でも、中には普通の魔物じゃないやつも紛れていた。



『ポイズンキャタピラー、レベル1』

【毒攻撃、レベル2】



 見たのは1匹だったが、キャタピラーと瓜二つの緑の体をしていた。正直に言って【詳細鑑定】を使わないと俺にも見分けがつかない。


 なるほどな。これがこの階層の罠なのか。


 ならそのポイズンキャタピラーに近づかなければいいわけだな。俺は念入りに【詳細鑑定】を行い、危険には近づかないようにして階段を探して行った。


 この階層でも階段は草陰に隠されていた。これは念入りに探さないと見つからないかもしれないな。

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