勝利
鑑定使いの冒険者4巻、発売中です。
スローライフがしたい大賢者、娘を拾う。2巻が4月25日(木)に発売となります。
詳しくは活動報告にて
ラインが剣を突き立てたのだが、それでもゴーレムは動くことを止めなかった。
「ど、どうして……」
困惑するライン。剣が突き刺さっているので前よりもしっかりと見極めはできているようだ。
柔らかい場所をしっかりと狙えた……。でも、それが致命傷にはなり得なかったようだ。
「グルァァァ……」
ゴーレムが唸るような声を響かせていた。
そして、ゆっくりとラインに向かって進んでいく。
さすがにここまでかと俺はシャルに視線を向ける。
彼女は小さく頷くと魔法を使う準備を始める。
しかし、ラインはグッと口を噛みしめて鋭い視線をゴーレムに送っていた。
「まだだ、まだやれることが……」
迫り来るゴーレムに恐怖を感じながらもまっすぐに前を見て手に魔力を込めていた。
「くらえぇぇぇ!!」
ラインの手は黒い炎の魔力で覆われていた。
その手をそのままゴーレムに向けて振り下ろす。
ドゴォォォォン!!
それはゴーレムに当たった瞬間が破裂し、その爆風でラインは後ろに飛ばされていった。
そのまま地面に倒れ込むライン。
しかし、すぐに起き上がって涙目に鳴りながら大声を上げる。
「いってぇぇぇーーー!」
真っ赤に腫れ上がった手。
さすがに固いゴーレムを殴りつけるのは無理があったようだ。
ただ、ゴーレムはラインの攻撃がとどめになったようで、そのままその場に崩れ落ちていった。
「シャル……」
「は、はいっ」
俺が声をかけるとシャルは大慌てでラインに対して回復魔法を使っていた。
それと同時にすぐに手の腫れが引いていく。
「す、すごいな……」
それを間近で見ていたラインは素直に感心していた。
「これで大丈夫だと思いますけど、無理はしないでくださいね……」
シャルが微笑みかけるとラインは顔を赤くして、小さく頷いていた。
「さて、それじゃあこのあとはどうするか……」
ラインがゴーレムに突き立てた剣はゴーレムを倒したときに一緒に吹き飛ばされて、真っ二つに折れていた。
もう使い道のない剣だけだとこれ以上ダンジョンの奥に潜っていくのは不安が残るだろう。
ラインはまだいけると言いたそうだったが剣が折れていることとやはりゴーレムを相手にして懲りたのかそれ以上何も言ってこなかった。
「それなら一度戻るか……」
ラインが頷くのを確認した後に俺は出口に向けて出発しようとする。
ただ、それを珍しく止めてきたのはシャルだった。
「待ってください……。その……、この先に何かあるみたいです……」
シャルには分かる何かがこの先にあるようだった。
さすがにもう戦えないだろうラインと一緒に行くには危険があるかもしれないが、まだシャルはほとんど魔法を使っていない。
この先にある何かを調べてから戻っても良いかもしれない。
新作2種類始めました。
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