ライボルトウルフ
ラインは攻める場所を探っていた。
剣は刺さったまま……もう少し押し込めば致命傷になると思うが、今はまだ大丈夫そうだ。
ただ手に取ることはできない。ライボルトウルフの帯電が剣の方まで伝わっており、それを握ると自身にも電流が流れてしまう。
かといって素手で殴るというのは論外だ。
となると攻める方法は――。
「魔法しかないか……」
ラインが答えにたどり着いてくれて俺は少しホッとしていた。
あの能力はやっかいだがウルフ自体の能力はそれほど高そうではない。
ラインの魔法で十分対処できるはずだ。
実際に魔法で攻撃を始めたラインはライボルトウルフを圧倒し始めた。
これならもう問題ないだろうな。
俺は目の前から警戒を周囲に向ける。
まだ、魔物は居そうだな。
俺は自身の感覚をさらに強固なものにするためにニャーに聞く。
「ニャー、近くに魔物は?」
「たくさんいるにゃ。いつでも案内できるのにゃ」
それを聞いて俺は満足げに頷いた。
それと同時にラインがちょうどライボルトウルフを倒すところだった。
◇
それからラインに数多くのライボルトウルフの相手をしてもらった。
ライボルトウルフはやはり対処方法さえわかればそれほど強い魔物ではないようだった。
そしてラインの魔力が尽きるまで戦い、ダンジョンから外に出てきた。
「お、俺はまだまだ戦えるぞ?」
精一杯強がって見せていたがラインの顔色はあまり良い物とは言えず、すでに疲れが見えていた。これ以上はさすがにきついだろうと俺が休みたいから戻ると言うことにするとラインもすんなり聞いてくれた。
そして、翌日にもう一階層下まで降りていく。
地下二階層、ここも普通の洞窟のようにしか見えない道が続いていた。
「ここにはどんな魔物がいるんだ?」
わくわくした様子のライン。
確かに昨日の魔物は簡単に倒せた。だから舞い上がっているのはわかる。それでも急に命を落とすこそも考えられるので注意を促しておく。
「ライン、ここはダンジョンだからな。油断したら一瞬でやられるぞ?」
「大丈夫だ。いつでもいける……」
気合い十分のライン。
するとちょうどタイミングを計っていたかのように開けた場所にたどり着くとこの階層の魔物が現れた。
俺の倍はありそうな程の大きな体格……。通路は通れなさそうなのにどうしてこんな魔物がいるのかは不思議だが、とにかくとても大きな石の魔物、ゴーレムが目の前にいた。
念のために俺は鑑定を行っておく。
『ゴーレム、レベル2』
【鈍感、レベル2】
【怪力、レベル2】
これはこれでやっかいそうな魔物だ。
さて、ラインはどうやってこの魔物の相手をするだろうか?
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タイトル
『大賢者は休みたい ~最強の賢者は転生しても頼られる~』
あらすじ
『最強の大賢者マグナスはたくさんの依頼に追われ、慌ただしい毎日を過ごしていた。
休みも取れず心身ともに疲れ果て、そのまま倒れるように眠りにつく。するとそこは自分の知らない場所だった。
つまり誰も自分ことを知らないこの世界……。
「よし、この世界ならゆったりと過ごせそうだ!」
それでも彼の力に気づき、取り入ろうとする人々は現れる。
しかしマグナスはそれらを躱し、全力でぐうたら生活を送ろうと決意する――。』