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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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町からの出発

本日1月31日より鑑定使いの冒険者2巻が発売となります。

 全員の準備を終えると俺たちは新しいダンジョンを目指して旅に出た。



「こうやってのんびり旅に出るのは久々ですね」



 隣に座っているシャルが嬉しそうな顔を向けて来る。



「うん、特に依頼で行くわけでもないもんね。ラインを鍛えるって目的はあるけど、急いでしないといけないわけじゃないし……」



 俺がシャルに話しかけているとラインが「俺は急いでるぞ!」という声を上げて来るがその言葉は聞かなかったことにする。


 ゆっくりと動く馬車。暖かく心地よい風をその身に受けているとなんだか眠くなってくる。



「いいですよ、休んでおいてください。着いたら起こしますので」



 御者をしてくれているニコルが言ってくる。

 それを聞いて俺は安心してゆっくり目を閉じていった。




「ハクさん、ハクさん、起きてください」



 ゆさゆさと肩を揺らされる。

 まだ眠たいけど、何かあったのかもしれない。


 俺は重たいまぶたをゆっくりと開けるとすぐ近くにシャルの顔があった。

 そして、その手にはご飯が握られていた。



「ご飯の準備が出来ましたよ」



 ゆっくり体を起こすとシャルからそれを受け取る。



「うん、ありがとう」



 お礼を言い、そのご飯を食べ始める。

 少し硬い部分や違和感のある部分があるものの味は特におかしくなく普通に美味しい。

 ちょっと焦げちゃったとかそういう程度の失敗だろうな。


 ゆっくりと何も喋らずにご飯を味わっているとシャルがジッと俺が何か言うのをそわそわしながら見守っていた。



「もぐもぐ……、んっ、シャル、どうかしたの?」



 流石に気になったので声をかけてみるとシャルは顔を赤く染めて首を横に振っていた。



「い、いえ、なんでもありません。わ、私もご飯を食べてこようっと……」



 慌てて自分の分のご飯を口にする。

 しかし、すぐにその口を止めてジッと僕の方を眺めてくる。


 もしかするとこの料理はシャルが作ったのだろうか?

 それならこの反応も納得できるな。


 俺の視線に気づいたシャルはすぐに視線をご飯の方に戻してパクパク食べ始める。


 そんな彼女を見て僕は少し苦笑していた。



「少し焦げてるところもあるけど、いい感じに仕上がってるね。おいしいよ」



 シャルに聞こえるように料理の感想を言うと彼女は食べていたご飯を思わず吹いてしまう。



「え、えっと、その、あの……」



 そして、嬉しさのあまり顔を真っ赤にして俺のカラになったお皿を手に取ると大盛りにご飯をよそってきた。



「ど、どんどん食べてくださいね。おかわりはまだまだたくさんありますから……」

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