新たなダンジョンを目指して
ラインがシャルとの勉強に頭を悩ませている中、俺は次にどこのダンジョンへ向かうかを考えていた。
今まで行ったことのあるダンジョンはこの町のクルードフダンジョンとシャーロッテの村のエビナフダンジョンだけであった。
そのうちこの町のダンジョンは走破してしまったことを考えると新しく別の場所に移動することも考えないといけないだろう。
問題があるとすればラインのことだけだ。
やる気は十分あるのだが、そのせいで空回りになりがち――。それに魔族であるという不安要素もある。
ただ、彼をこの町に一人残すと言うことも怖い。
そう考えると連れて行くという選択肢以外残らないのだが、問題はそれを彼が承諾するかだ。
元々強くなりたくて俺の奴隷になったのだろうし、一緒に来るって言うんだろうな。
そう思いながらも俺は勉強のしすぎで頭がパンクしそうになっているラインに尋ねてみる。
「ラインは俺たちが違うダンジョンへ向かうって行ってもついてくる?」
「も、もちろんだ……俺はダンジョンで鍛えて強くなるんだからな……」
少し辛そうに机に伏しながらも小さく握りこぶしを作るラインを見て俺は小さく微笑んだ。
「それならしっかりと勉強しないとだね」
「うへぇ……」
「そうですよ、そろそろ休憩も終わりにして次に行きましょう!」
やけに生き生きとしているシャルを横目に俺は他の人に意見を求めようと部屋を出る。
「は、ハク……待って……俺を一人でおいてくな……」
だんだんと小さくなっていくラインの声……。しかし、これも必要なことだと心を鬼にして部屋を出て行った。
◇◇◇
そして、次に俺が向かったのはミーナの部屋だった。
一応彼女やニャー、ニコルにも意見を求めておかないといけないもんね。
ただ、後の二人は簡単に捕まるものの、ミーナだけはこの町に自宅があるだけあって中々会いたいときに会う……と言うことができなかった。
そんな日が続いていたのだが、今日はどうやら自分の部屋にいるらしい。
俺は軽く扉をノックして、返事があったことを確認すると中へと入る。
するとそこにはミーナだけではなく、ニャーの姿もあった。
そして、周りに散らばるたくさんの服。
それを見ただけで俺はここで何が行われていたのか概ね把握する。
「にゃ……ご主人様……助けてにゃ……」
「まだ着せたい服はたくさんあるのよ。もう少し我慢して」
「にゃーーーー!」
うん、ここは後からでもいいかな?
ゆっくりと扉を閉めようとするとミーナが俺に向かって声をかけてくる。
「ちょうどいいわ。あんたも着て行きなさいよ!」
それだけ言うと俺の方にも似たような服を取り出してゆっくりと近づいてくるのだった。
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ただのポーション売りの少年が治療した人の影響を受け、少しずつ変化していくほのぼの物語です。
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