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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第一章、クルードフダンジョン、第1〜5階層
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地下二階層

 無事にウルフを倒した俺たちは休む間も無く進んでいき、そして、下へと降りる階段を発見する。



「ふぅ……ここまで大変だったな」

「何言ってるの!? ダンジョンの本番はこれからよ。ここから五階層までは初心者ゾーンなのよ」



 その言葉に俺はため息を吐きたくなってくる。

 しかし、気を取り直して先に進んでいく。




 クルードフダンジョン、第二階層——地下に生息するダンジョンなのに緑の生い茂ったそこは第一階層とは違い、狭い通路は少なく、少なくても周りが見渡せるようにはなっていた。

 そこに住む魔物たちは大きなダンゴムシのようなダンゴール、大きな青虫——キャタピラー。そして、一階層でもいたウルフが闊歩していた。



「へぇー、ここは広いんだな……」

「来たことなかったの!?」

「あ、あぁ……ダンジョンに入るのもこれで二回目だ」



 それを聞いたミーナが呆れ、顔に手を当てて首を横に振る。



「本当にこんなことで勝負に勝てるのかしら……い、いやよ。負けたら私が何されるか……」



 身震いして腕を組む。そして、俺の体を掴み揺さぶってくる。



「ハク、急ぐわよ! こんなところでのんびりしてるわけにはいかないの!」

「し、しかし、ここにいる魔物がどういったものか……それもわからないのに」

「ここにいるのはみんな雑魚よ。それより降りる階段を探さないと!」



 本当に雑魚かはわからないが、確かに勝負に勝つには階段の場所を探さないと……あれっ?



「ミーナ、この階層に来たことあるなら階段の位置もわかるんじゃないの?」

「何言ってるの? ダンジョンは生き物なのよ。その階層に人がいなくなった時点でその階層のマップが変わると言われてるの。だから前に来た知識なんて役に立たないわよ!」

「ふーん、そういうもんなんだな」

「あんた、本当に初心者なのね……」



 呆れてるミーナをよそに俺はダンジョン内を見渡す。

 後ろには今降りてきた階段。前は草原……ただ、この階層からはちらほらと人影が見える。



「ここの虫たち……弱い割にお金になるのよ。一匹で銅貨三枚……。だから初心者冒険者はここらへんでお金を貯めるのよ。もちろん、今回は無視するわよ!」

「い、いや、俺は初心者……」

「いいから!」



 仕方なしに魔物たちは無視して先に進む階段を探す。

 しかし、魔物の姿が見えたときに【詳細鑑定】はしておく。



『ダンゴール、レベル2』



『キャタピラー、レベル2』



 スキルも持っていない魔物のようだ。確かに弱い。下手をすると一階層の魔物よりも弱い。それなのに金になる理由……何かありそうだ。


 しかし、無理にそんなことを調べる必要もないので俺たちは階段を探して進んでいった。

 道中どうしても避けられない魔物と戦ったが、感触としては初めにゴブリンと戦ったときと似ていた。あえていうなら、ゴブリンよりその外皮は固かった。

 それだけだった。


 これで銅貨三枚か……確かに美味しいなぁ。

 倒したときに落ちた緑の魔石を見てそんなことを俺は考えた。


 そして、草むらの陰に下に降りる階段を発見する。

 そこを降りていった。




 クルードフダンジョン、第三階層。ここは二階層に続き、草原のエリアだった。出てくる魔物もダンゴールとキャタピラーがメインとなっており、絶好の狩場のはずが、初心者冒険者が一番命を落としやすいのもここの階層であった。



「ミーナ、何読んでるんだ?」

「な、何でもないわよ」



 第三階層について説明してくれたミーナだが、荷物のところに隠した本を俺は見逃さなかった。まぁ前もって情報がわかるならありがたいし、それ以上は何も言わなかったが。



「ここも相変わらず草原なんだな」

「……私虫苦手かも」



 俺の服にしがみついてるシャル。その体は小刻みに震えている。

 それほどまでにこの階層には虫の魔物が大量に生息していた。



「ここも人がいっぱいだな」

「やっぱり美味しい狩場だからね。でもどういうわけかここで死ぬ人も多いから気をつけてね」



 警戒を促してくるミーナ。理由はわからないがもしかしたら虫以外の魔物がいる……とかなのだろうか?

 不思議に思いながらも俺たちはこの階層の階段を探して歩き回った。

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