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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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シャルとのデート?

 俺が外に出てしばらくするとオドオドとした様子でシャルが出てくる。

 ギュッと服の裾をつかみ、顔を俯かせている。

 それを見ていると先ほどの出来事を思い出してしまう。



「だ、ダメー!!」



 俺が何を思い出しているのか理解したのか、シャルは更に顔を赤くして僕にぶつかってくる。


 しかし、シャルの軽い体では俺が吹き飛ぶことはなく、むしろすっぽりと腕の中に収まる感じとなってしまう。


 するとシャルは更に顔を赤くして俺をポカポカと叩き始める。



「もう、シャル、痛い、痛いよー」



 実際はそれほど痛くないのだが、それでもこう言わざるをえないのはどうしてだろう。


 それからしばらくシャルが落ち着くまで俺は殴られ続けていた……。





 そういえばシャル以外の姿が見えない。



「あれっ、他のみんなは?」



 落ち着いて少し息を荒げてるシャルに聞いてみる。



「えっと……、ニャーちゃんはご飯探しの旅に行ったみたい。ミーナさんは一度実家へ戻るって。あとミーナさんにニコルちゃんもついて行ったみたい」



 みんな出て行ってるのか……どうりで家の中が静かなわけだ。



「シャルは何か用事あるの?」


「えっと……、私も町に出てみようかなと」


「よかったら俺と一緒に行く?」



 さりげなく聞いたのだが、シャルの顔は固まり、機械のようにゆっくりと僕のほうを向いてくる。



「ほ、ほ、本当にいいのですか?」


「うん、たまには二人でのんびりしよっか」


「はいっ!!」



 満面の笑みを浮かべるシャル。

 久々に町中をゆっくりと歩く。

 特に何か目的があるわけでもない。

 武器を見に行くわけでもなくただ、ぶらぶらとみて歩く。



「ほらっ、ハクさん! あそこに変わった食材がありますよ」



 さりげなく俺の手を取ってくるシャル。

 少し顔を染めているものの手を離すことはなく、少しはにかみながら引っ張ってくる。


 シャルが言っていた変わった食材というのはたくさんのとげがある変わったものだった。



【とげまる】

『食材』



 変わった表示がされている。

 名前も変なものだし、これって食べられるのかな?



「せっかくだし食べてみる?」


「えっと……あははっ」



 さすがにシャルも食べる勇気がないようだ。

 乾いた笑みを浮かべている彼女はただ、それを眺めているだけだった。


「おや、仲睦まじい兄妹だな。このとげまるはここらじゃ珍しい食材だからな。一個銀貨一枚、一個どうだい?」


 お店のおじさんに勧められる。

 しかし、兄妹と聞いてシャルはムッとして、僕を引っ張ってお店を離れてしまう。




「もう、失礼な人ですね!」



 むすっとした様子で口をとがらせるシャルに、思わず苦笑いする。



「ま、まぁ、そう思う人もいるんだろうね……」



 無難な反応しかできず、ほかにシャルの気を引けるものがないかと周りを見渡す。


 すると必死に呼び込みをしている人の影で店の商品を盗み出している少年の姿を発見する。

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