操魔とミーナ
不安がどうしても拭いきれず、俺はあわててミーナを置いてきた場所へ引き返していった。
しかし、そこには普段通りの様子のミーナがいた。
よかった……。
俺は安心してミーナの前に出る。するとその途端ミーナは手を前に突き出してくる。
「……ウインド」
顔をうつむけたまま小声でつぶやいてくる。
するとその途端にミーナの手から風の嵐が吹き荒れる。
慌ててニコルが俺の前に立ち、両腕をクロスに構える。
「う……ぐぅ……」
ニコルが苦しそうな顔を浮かべている。
な、なんで? ミーナの風魔法レベルは1のはず……。レベル1の魔法にニコルをうめかせるほどの威力があるとは思えない。
俺はミーナを鑑定してみる。
【白色冒険者証、レベル8】
【風魔法、レベル3(宝玉)】
【強化魔法、レベル6】
【妨害魔法、レベル6】
【杖術、レベル3】
【操魔の虜】
操魔の虜がなんで!?
俺は目がうつろになっているミーナの後ろを見る。
あの操魔の虜スキルがなかった少年が口元をつり上げて笑ったように見えた。
それにミーナのスキルレベル……前に見たときから比べると跳ね上がっている。
どういうことだ?
僕は後ろで笑みを浮かべている少年を鑑定する。
『レイナルド・ドルミリン、レベル14』
【操魔】
【鞭術、レベル3】
【変装術、レベル3】
【ダンジョン創造、レベル1】
あの少年が魔族か……。
俺がキッとにらみつけるとますますその少年はうれしそうに微笑む。
ただその前にミーナをどうにかしないと……。
「ニャー、あの少年を見張っててくれる? シャルはニコルの回復をお願い」
「はい、任せてください」
シャルがそう告げると早速杖を構え、回復魔法を唱え始める。
「ニコル、なんとかミーナを気絶させることができないか?」
「うーん、難しいけどやってみる」
ニコルがミーナに殴りかかる。当然、力は抜いているようだ。
それをあっさりと躱そうとするミーナ。ただ、元々魔法使いである彼女に常時肉体強化しているニコルの攻撃は防ぎきれないようであっさりとその攻撃を後頭部に受けそのまま意識を手放してしまった。
「えっと……」
さすがに拍子抜けしてしまったようでどう反応したらいいかわからずにニコルが困惑していた。
俺はミーナに詰め寄って意識を失っている彼女を介抱する。
「ニコル、シャル、あとはそこにいる魔族だけだよ!」
ニャーがすでに攻撃を繰り返している。
やはり魔族らしくない……。
ニャーの攻撃すらまともに躱しきれない魔族……。いや、それはいつも通りだな。
ただ、いつもならまともに攻撃が効かないのだが、この魔族は攻撃受けて苦しそうな顔を浮かべている。
なんだか嫌な予感がするな――。
長々とお待たせして申し訳ありません。
非常にゆっくりにはなりますが本日よりまた更新していきます。
同時刻に鑑定能力で調合師になりますも最新話更新しております。