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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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捜索

 道中に何体かメイジゴーストがいたが、戦闘力として考えるならとても弱い魔物だった。

 ただ、姿が見えず怖がらせるだけの魔物……それがここまで厄介な存在だと思わなかった。


 俺たちはシャルとミーナを探しまわっていた。


 ただ、その間もメイジゴーストたちの攻撃(嫌がらせ)は続くので、居場所がわかる俺が先頭に立ちメイジゴーストたちを倒していき、ニャーとニコルで周囲にシャルやミーナがいないかを探してもらう。


 しかし、なかなか見つからない。


 いや、二人は相当怖がっていた。それなら——。



「二人はどこかに隠れてるかもしれない。物かげもよく確認してくれ!」



 そう言い、注意して探し始めるとすぐにシャルを発見する。


 孤児院の部屋のようなところに置かれた複数の二段ベッド。その下に隠れて怯えるように震えていたシャル。



「よかった……。シャル、無事だったんだね」



 俺が声をかけるとシャルは恐る恐る俺の方に振り向く。

 そして目に涙を溜めて抱きついてくる。



「うわーん、ハクさん、怖かったですぅ……」



 俺はシャルの背中を軽く叩きながらシャルが泣き止むのを待った。




 そしてシャルが泣き止むと今度はミーナを探し始める。


 すると、ミーナの方も物陰に隠れていたようだ。

 カーテンにくるまっているところを発見した。


 ただ、俺が声をかけようとした瞬間にミーナは悲鳴をあげて逃げ出してしまう。



「おい、ミーナ! 俺だ! ハクトールだ!」

「いやぁぁぁ……」



 話も聞いてもらえないほど困惑してるようだった。

 しばらくこの階層で追いかけっこをして、ようやくミーナの息が上がり止まってもらえる。


 その間何も見ないようにしていたからか、ミーナを驚かそうと近づいていたメイジゴーストたちを吹き飛ばし、その結果、メイジゴーストたちは壁にぶつかって、倒され魔石に変わっていた。


 よわっ!!


 思わず心の声で叫んでしまった。


 ま、まぁレベル【1】だもんな。このくらいの強さでも不思議ではないか。


 俺は乾いた笑みを浮かべる。その一方、ニャーは嬉しそうに尻尾を揺らしながら落ちた魔石を拾っていた。



「大漁にゃ、大漁にゃ」



 嬉しそうに声を上げるニャー。

 するとその声でようやく気づいてくれたのか、息も絶え絶えのミーナがこちらを向いてくれる。



「あっ、ハグゥゥゥゥ……」



 目に大粒の涙を浮かべてミーナは俺に抱きついてくる。そして、しばらくその体勢のまま泣き続けた。




 そして、皆が揃ったので俺はここにいる魔物——メイジゴーストについて詳しく説明する。

 それを聞いたミーナは恥ずかしさからか、顔を真っ赤に染めていた。



「ふん、わざと怖がってあげたんだからね」



 精一杯の強がりを見せているが、こっそり後ろからニャーが驚かすと腰を抜かすほど驚いていた。

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