捜索
道中に何体かメイジゴーストがいたが、戦闘力として考えるならとても弱い魔物だった。
ただ、姿が見えず怖がらせるだけの魔物……それがここまで厄介な存在だと思わなかった。
俺たちはシャルとミーナを探しまわっていた。
ただ、その間もメイジゴーストたちの攻撃(嫌がらせ)は続くので、居場所がわかる俺が先頭に立ちメイジゴーストたちを倒していき、ニャーとニコルで周囲にシャルやミーナがいないかを探してもらう。
しかし、なかなか見つからない。
いや、二人は相当怖がっていた。それなら——。
「二人はどこかに隠れてるかもしれない。物かげもよく確認してくれ!」
そう言い、注意して探し始めるとすぐにシャルを発見する。
孤児院の部屋のようなところに置かれた複数の二段ベッド。その下に隠れて怯えるように震えていたシャル。
「よかった……。シャル、無事だったんだね」
俺が声をかけるとシャルは恐る恐る俺の方に振り向く。
そして目に涙を溜めて抱きついてくる。
「うわーん、ハクさん、怖かったですぅ……」
俺はシャルの背中を軽く叩きながらシャルが泣き止むのを待った。
そしてシャルが泣き止むと今度はミーナを探し始める。
すると、ミーナの方も物陰に隠れていたようだ。
カーテンにくるまっているところを発見した。
ただ、俺が声をかけようとした瞬間にミーナは悲鳴をあげて逃げ出してしまう。
「おい、ミーナ! 俺だ! ハクトールだ!」
「いやぁぁぁ……」
話も聞いてもらえないほど困惑してるようだった。
しばらくこの階層で追いかけっこをして、ようやくミーナの息が上がり止まってもらえる。
その間何も見ないようにしていたからか、ミーナを驚かそうと近づいていたメイジゴーストたちを吹き飛ばし、その結果、メイジゴーストたちは壁にぶつかって、倒され魔石に変わっていた。
よわっ!!
思わず心の声で叫んでしまった。
ま、まぁレベル【1】だもんな。このくらいの強さでも不思議ではないか。
俺は乾いた笑みを浮かべる。その一方、ニャーは嬉しそうに尻尾を揺らしながら落ちた魔石を拾っていた。
「大漁にゃ、大漁にゃ」
嬉しそうに声を上げるニャー。
するとその声でようやく気づいてくれたのか、息も絶え絶えのミーナがこちらを向いてくれる。
「あっ、ハグゥゥゥゥ……」
目に大粒の涙を浮かべてミーナは俺に抱きついてくる。そして、しばらくその体勢のまま泣き続けた。
そして、皆が揃ったので俺はここにいる魔物——メイジゴーストについて詳しく説明する。
それを聞いたミーナは恥ずかしさからか、顔を真っ赤に染めていた。
「ふん、わざと怖がってあげたんだからね」
精一杯の強がりを見せているが、こっそり後ろからニャーが驚かすと腰を抜かすほど驚いていた。