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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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メイジゴースト

 すると、突然強い風が吹く。

 それは俺を綺麗に避け、シャルたちに向かっていく。そして、彼女らのスカートが捲り上がる。


 突然のことに顔を赤くした皆は一様に悲鳴をあげる。


 すると突然あたりに甲高い笑い声が響き渡る。

 メイジゴーストの姿が見えないせいで、その笑い声が不気味なものに思える……。


 このダンジョンの雰囲気を怖がっていたミーナは俺の服を握る手に力が込められる。

 顔は真っ青になり、目に見えるほどガタガタと震えだす。

 それだけではなく、さっきまで怯えていなかったシャルも姿が見えず笑い声だけが聞こえる今の状況は怖いらしい。さりげなく俺の後ろに隠れてしまった。



「どこにいるにゃ、姿を見せるにゃ」



 ニャーが辺り構わず、適当に攻撃をするがそれがメイジゴーストにあたることはなかった。


 攻撃が当たらないことで更に笑い声を大きくさせるメイジゴースト。しかも、既に別の魔法も唱えていたようだ。



「あ、あれっ? か、体が動かないよ!?」



 ニコルが必死に体を動かそうとするが、まるでその場に縫い付けられたかのように体を動かすことができなかった。


 するとミーナやシャルの顔からスーッと血の気が引いていった。


 そして、その場からそれぞれ別の方向に逃げ出してしまった。



「お、おい、勝手に行くな!」



 俺の声は虚しく、シャルとミーナの姿は見えなくなってしまった。

 仕方なく俺はメイジゴーストの表示が出ている場所に剣を振るうとなんの手応えもなかったが、メイジゴーストの表示が消え、その場に魔石が転がり落ちた。



「あっ、動くようになった」



 動けるようになったニコルはくるくると手を回していた。



「一体何だったのにゃ?」



 不思議そうに首をかしげるニャー。

 しかし、すぐに落ちている魔石に気づいた。



「これは魔石にゃ。でもどうして……?」

「そういえば、ハクさん何か剣を振ってたね」



 ニコルが不思議そうに俺を見てくる。



「あぁ、そこら辺に魔物がいたからな」



 そういうとさすがにニコルたちは驚いたようだった。



「魔物? 姿見えなかったよ?」

「匂いとか気配もなかったのにゃ」



 少しずつ詰め寄ってくる二人。確かに気配とかもなかったら調べようがないか……。まぁ攻撃もあまり危なくない嫌がらせのようなものだし、強くもないから気にする必要もないかな。



「それより、シャルとミーナを早く探さないと!」



 俺はシャルたちが逃げていった方を見ながらそういうとニコルは頷いてくれる。


 相手の姿が見えない以上、俺は【詳細鑑定】をフルに使いながらその方向へ進んでいく。

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