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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第十章、孤児院改善
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訪問

 俺たちだけで話をしていても仕方ないので俺は孤児院の代表の人と話をすることにした。

 シャルがここの長がいる部屋まで案内してくれる。


 以前住んでいただけあって、そこに行くまでに迷う素振りは……。



「あれっ、ここも違う……」



 迷う素振りは……かなり見せていた。

 本当にここに住んでいたのか怪しくなるほどに……。


 すると館の中にいた少年が話しかけてくる。



「お姉ちゃん達? だれ? 何かご用?」



 ついこの間までいたシャルのことを知らないのだろうか?

 

 少年のその言葉に疑問を浮かべる俺だったが、シャルの言葉ですぐにわかった。



「君は最近来た子かな? 私はシャルロッテ、以前ここに住んでたんだよ。ここの先生に久々に挨拶がしたいんだけど、どこにいらっしゃるかな?」

「うん、先生だね。こっちだよー」



 どうやらこの子はシャルが出て行った後に入ってきた子のようだ。俺たちは少年に案内される。


 そして、軽く扉をノックして中に入ると白髪でモノクルをかけた優しそうなおじいさんがニッコリと微笑んでくれる。


 いかにも孤児院とかを開いていそうな人だ。

 俺はその人が孤児院の長だと言われ納得してしまったが、シャルは首を傾げたままだった。



「どちら様かな?」



 優しく微笑んだままおじいさんが聞いてくる。

 シャルのことも知らないのは不思議だが、何人かいるうちの一人……とかならシャルも知らない人がいてもおかしくない。


 そう無理に納得する。



「俺はハクトールと言います。以前冒険者仲間のシャル……ロッテがここにお世話になっていたと聞き挨拶によさせていただきました」

「これはこれはご丁寧に、どうもありがとうございます。ただ、私は最近ここを任されましてな。その子がどういった子だったのかも知りません」



 それならシャルが不思議に思っても仕方ないだろう。

 向こうもシャルのことを知らないみたいだし……。

 ただ、それを聞いた後もシャルは不思議そうだった。どうしたのだろう?



「あ、あの……、この孤児院……、何だか様子が変ではありませんか? 何だか以前と違うような……」

「……? その以前がわかりませんので私にはなんとも言えませんが、どう違うのですか?」

「それはその……」



 何かを言おうとして、そのまま口をつぐんでしまった。

 言いにくいことだろうか?

 いったい何を言おうとしたのか考えて、ある答えが出てくる。


 シャルたちは選択肢がなく、冒険者にしかなれなかったと言っていた。

 でも、目の前にいる優しそうなおじいさんがそんなことをするだろうか?


 とてもそのようには見えない。

 つまり、この人が来てから孤児院の雰囲気が良くなった……とかそういったことが言いたいのだろうな。

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