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鑑定使いの冒険者  作者: 空野進
第九章 クルードフダンジョン、走破
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マグラナイド

 俺たちが相手をしていたスノースライムを切った男は、スノースライムが魔石に変わると口をつり上げてその魔石を拾い、俺たちのほうへと振り向いた。



「わざわざ私のためにこの魔物を弱らせてくれてありがとう!」



 親指を上に立て、グッドのポーズをしてくる男に俺は内心イライラとしていたが、特に他人の魔物を取ってはいけないという法はない。

 まぁマナーとして普通はやらないのだが。



「ちょっと、それはマナー違反でしょ!」



 ミーナが少しイラつきながら男に言うが、男はへらへらとしながら言い返す。



「別にそういう規定があるわけでもないんだよ、マイハニー」



 ミーナに対してウインクする男。

 相変わらずミーナを狙う男の人が多いな。

 まぁそれなら俺が関わることじゃないな。あとはミーナに任せて俺は先の部屋を確認しようとするが、それは許さないといった感じにミーナに腕を掴まれる。



「(ちょっと、私を一人にしないでよ! あんなわけもわからないやつ、私じゃ相手にできないわよ)」

「(でも、ミーナに用事があるみたいだし、俺は関係ないだろ。それなら前もって先の階層を確認したほうが有効かなと——)」

「(あなた、私の婚約者でしょ!)」

「(あれはミーナを助けるために仕方なく……)」

「仕方なくですって!?」



 ミーナが声を荒げる。

 なんでそこまで怒ってるんだろう?

 無理やり婚約させられるの嫌がってたはずなのに……。


 いや、あの人の相手をするのが嫌なだけか……。


 なんか話が合わなそうだもんな。


 すると、ようやく男の人の顔を見たシャルが指をさして驚く。



「あー、あなたはマグラナイドさん!」



 この人が俺を探していた人?

 こんな変な人、俺見たことないんだけどな……。

 いや、一応ミーナの婚約者候補として名前が上がってるわけだし、それで姿を見に来たのかも……。



「おや、君はハクトール殿の館にいた……メイドの少女か。どうしてこんなところに?」

「いやいや、シャルはメイドじゃないぞ。立派な俺のパーティの主力だ!」



 どうも勘違いしているようなので、それだけは言っておく。

 ただ、俺にも用があるみたいなので、仕方なく話を聞くことにした。



「それで俺に用があるみたいですが、何ですか?」

「ということは君がハクトール殿か。この冒険者レベル【7】の私がマイハニーの婚約者候補に名乗り出たんだ。レベルの低い君は諦めてくれたまえ」



 キラッと白い歯を見せながら、カッコつけて言ってくる。

 ただ、この人勘違いしてるな……。



「カッコつけてるところ悪いのですが、俺たちの冒険者レベルは【8】ですよ?」



 それを言って冒険者証を見せるとマグラナイドさんは顔を赤くして、ぷるぷると震える。

 恥ずかしかったのだろうな。

 そして、それと同時にミーナが失笑をしていた。

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