表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/175

キャネラーが、現れる。

東京で結婚して暮らしている中学の同級生、綾小路みどり(旧姓、佐藤)が実家で、ご法事があるらしく帰省するらしい。


ミドリが久しぶりに帰ってくると言うことで、中学の女子何人かで飲み会をしようということになったのである。


幹事は花江で、日曜日やることになった。

居酒屋の座敷に集まった。

いつもの女子会のメンバーと、あとミドリと仲良かった女子、あとは、あの童顔の佑実も最近引っ越してきて、参加したいみたいなので誘ったらしい。


「みどり、遅いわね」

「法事で親戚も来てるだろうし、出てきづらいのかしら」

主役が来ないのでは、乾杯もしづらい。


「お待たせー。みんな、久しぶりっー」


襖を開けて登場したミドリに、全員ぼーぜんとした。

それはそれは中学のみどりとは、別人のようなミドリがいた。

上から下まで、全身高級ブランドのミドリだった。


建設業を経営する社長さんと結婚したとは聞いていたが、金持ちオーラが、すごかった。


「ミドリ、羽振り良さそうね」

花江がミドリに言った。


「まあね。旦那が小さいながらも会社を経営してるから、贅沢させてもらってる。これ、キャネルの新作」

そう言ってミドリは、キャネルのバッグを私達に見せた。

ミドリのしてる時計もキャネルで、素敵だった。


やっぱり東京に住んでる人は違うな。全身ブランドなんて当たり前なのだろう。



「あら佑実。その服、もしかして、モリムラ?佑実は、モリムラーなのね。オホホホー」


ミドリは童顔自慢の佑実に皮肉なのか言った。佑実は、童顔だからモリムラの安い若い服で、沢山買っているのだろう。


「法事に、キャネルのイヤリングしたら、親に怒られちゃって。ちょっと派手かしら?田舎もんの親には、価値が分からないからね。オホホホー」



おまえは女王様かと、突っ込みたい。



ゴホッ、ゴホッ。

ミドリの隣に座っていた和津が咳き込んだ。

どうやらミドリの香水のすごさに咳き込んだらしい。

私もシャネルの香水の匂いは好きなのだが、ミドリは全身に香水を撒き散らしたみたいだ。


料理の味もしないくらいミドリの香水の匂いが、座敷中に充満していた。私にも匂いが染み付きそうな勢いだ。

これじゃあ、リョウタに香水の匂いがすると、怪しまれそうだ。



「京子、そうえば社長やってるんだって?すごいじゃない。経営者なんてさ。京子は、昔から頭良かったしね。経営って大変だと思うけど、やりがいがあると思うの。まあ、うちは東京で経営してるから、田舎でやってるのとは、ちょっと訳が違うけどね」


会社やってるのは、おまえの旦那だろーが。


「花江のそのバッグは、どこのブランド?見たことないブランドね」

花江のバッグを見て、ミドリは言い出した。


「地元のショッピングモールで、買ったバッグよ。ブランドなんてないわよ。3000円。うちの旦那は稼ぎ悪いから」


「3000えーんっ。バッグって、そんなに安く買えるもんなのー。ある意味。そんな安いバッグを見つけた花江は凄い。さすが、やりくり主婦。掘り出し物を見つけるのが得意なのねー。オホホホー」


ここまで来ると見下してるのか、天然なのか、分からなくなってきた。


でもミドリも、中学の時は田舎で安いバッグを買っていたと思うが。

そんなことは忘れてしまったのだろうか。


「京子、そのネックレスはティパターじゃない?ハートは、可愛いけど若者で手頃な値段よね。京子も若いわよね。ハートなんて。」


「これは旦那が、クリスマスにプレゼントしてくれたものだから」

リョウタがプレゼントしてくれたハートだ。


「えーっ。旦那さんのプレゼントでハートなの?!旦那さん、ひどいわね。あっ。京子の旦那さんって年下なんだっけ?だったら仕方ないかー。私なんて10歳も年上の旦那だから、高いものばかりプレゼントしてくれるのよ。この間の誕生日には車をプレゼントしてもらったわ。もちろん、外車。クリスマスには600万円のダイヤの指輪。ほんと高価なプレゼントばかりで困るわー。オホホホー」


さすがに周りは、ミドリの高飛車さに呆れてきてるようだった。


こんな田舎で一緒に過ごした同級生が、変わり果てた姿で、やってきて田舎に住んでる、ブランドの店などない田舎で買い物は地元のショッピングモールで、それでも楽しいと思ってる私達を見下すようになった同級生。

それはそれで、寂しい。

でも大人になるって、こういうことなんだ。


少女の時代を忘れ、安いもので感動もしなくなり、価値は値段で決めるようになる。

高価なプレゼントを愛だと思い、そこで愛を査定する。



「でも旦那がくれたものだからハート嬉しい。私の旦那は10歳も年下だから、高価なものを私にプレゼントしてくれたら恐縮しちゃう。だって旦那が一生懸命働いたから、私のものに高いものを買うんじゃなくて、自分のものに使ってほしい。私は自分で働いて、自分のものは自分で買えるから」



花江は目がうるうるしてた。


「そうね。京子は社長だもの、自分で買えるよね。その方が頑張って働いた証になるよね。男にブランドを買ってもらうばかりが名誉じゃないよね。私達も40過ぎたんだし、いい加減、旦那の稼ぎをあてにしないで自分で買わないとね。」

和津が言った。



ミドリは、さすがにバツが悪そうだった。



「京子は、リョウタくんという最高のブランドの旦那を貰ったのよ」


花江が泣きながら言った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ