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ランチ。

中学生の同級生の佑実が、地元にマイホームを建てたために、この町に引っ越してきた。今までは結婚して、となりの市にいた。


花江が、最近スーパーで偶然会ったらしく、メアド交換したみたいだ。

「でさ。ランチに誘われたのよ。断る理由はないんだけど、私と佑実だけじゃ話が広がらないから、京子も来てよ。佑実も京子に会いたいと言ってたし」


佑実とランチかあ。佑実は中学の時は、小さくて、可愛いかった。当たり障りなく誰とも話す人だったが、これといって深く付き合った仲ではない。わざわざランチしたいほどじゃないな。


「私は、いいや。休みは、なるべく恭ちゃんといたいし。花江とか和津だったら、気を使わず、恭ちゃん連れていけるけど。佑実とは同級会くらいでしか会ったことないから、恭ちゃんを連れていくの気が引けるし」

私はランチを断った。


「恭ちゃん連れてきても、大丈夫だよ。行こうよー。私一人じゃ嫌だよ。お願い。京子ー」


一人で嫌なら、佑実とランチと約束しなければいいのに。



そういうわけで水曜日、恭ちゃんを幼稚園に迎えに行ってから渋々ランチに行った。

ランチは個室のある居酒屋のランチだった。恭ちゃんがいるから個室にしてくれたのだろう。


「ごめんねー。遅れて」

私は、個室に通された。


「京子ー。久しぶりっ。京子、全然変わらない。綺麗なまま。」

佑実はテンションが高かった。


「わあ。可愛いー。私は、佑実おねえちゃんですっ。よろしくねっ」

佑実は、自分をおねえちゃんと言った。


恭ちゃんは、おねえちゃん?という顔をしたが黙っていた。


佑実は、6歳年上の旦那と21歳のときに結婚し、大学生の娘さんと、高校生の息子さんがいるらしい。今までは旦那さんの実家に暮らしていたが、姑とあわずマイホームを建て別居したみたいだ。今は4時間くらいのパートを週三回してるみたいだ。


「私、ちっちゃくて童顔でしょう。だから若く見られて、この間なんか中学生にみられたのよ。童顔も困るわ」


中学生に見られた?それはいくらなんでも無理がある。

41歳のオバサンが中学生には見えないだろう。

身長が150くらいしかないから、暗闇で見て中学生に間違われただけではないだろうか。顔は童顔といっても、年齢不詳な感じである。


「いっつも、近所のおじさん達に、おねえちゃんって呼ばれるのよー。もう困るー」


まあ、80歳くらいのおじさんから見れば、おねえちゃんだろう。


「大学生の娘と買い物に行くと、いっつも友達に間違われるのよ。親子だと言うと、すごい驚かれるの。高校生の息子と歩くと、息子の彼女に間違われるのー。もうっー、私って、ちっちゃくて童顔だから、若くみられすぎて困っちゃうー。やっぱり年相応が一番よね」


いやいや。いくらなんでも息子さんの彼女には見えないだろう。それとも熟女好きに思われたのだろうか。


「私、ちっちゃくて童顔でしょう。だから娘と服を共有してるの。娘のサイズのほうが、大きいくらい」


大学生の娘さんが着るような服を41歳が着るのは、無理がないだろうか。

花江を見ると料理を食べて、そろそろ佑実の話に飽きたようだった。


「旦那は6歳年上だから、すごーい優しくて私は、ちっちゃくて童顔だから、私のこと、いまだに可愛いみたいで、姑に苛めれたときも、すごい私をかばってくれて親より、私の方が大切みたい。旦那、47歳なんだけど若くみえて、みんなにイケメンって言われるの。だから浮気心配」

そう言って、佑実は旦那の画像を見せてくれた。


どこからどうみても、その辺にゴロゴロいる田舎のオッサンだった。


「・・・」

花江は画像を見て、無言だった。


「会社の社長さんみたいね。貫禄あるー」

私は無理矢理誉めた。


まあまあイケメン好きの花江から見れば、誉めたくないだろう。


「私の旦那さん、すごい大人だから頼りになって、いまだにラブラブなの。周りに素敵な旦那さんねって、羨ましがられるのー。そういえば京子の旦那さん、年下なんでしょうー。大変じゃない?」


「特に、大変ではないけど・・」


「京子の旦那さんは、この町のイケメンNo.1に選ばれたのよ。」

花江は挑戦的に言い出した。


「そうなの?でも、そういうのって、ほとんど身内投票みたいもんでしょー?どれだけイケメンか、京子見せてよー」

佑実は言ってきた。


「もう全然イケメンじゃないから。佑実が言うように身内投票で、No.1になったようなもんだから。みせるほどじゃないよー。佑実の旦那さんに比べたらブサメンよ」

私は、謙虚に言った。


「えー。でも見たいっ。見たいっ。京子見せてー」

ちっ。しつこいな。自分の旦那のほうがいいと絶大なる自信を持って、佑実は言った。


「京子、佑実に見せてやりなさいよ」

花江は、ますます佑実に挑戦的に言った。


「仕方ないな。ほんとにブサメンだからね」

私は、リョウタの一番写りのよい画像を見せた。


「ブサメンだから、恥ずかしいけど、これが旦那」


佑実が、えっ。て顔した。


「もうー。京子、からかわないでよ。これ芸能人かなんなかの写真じゃないのー。美形すぎるし若すぎだよ」

佑実は、冗談だと思って笑った。


「京子の旦那よ。これ、まだ写り悪いほうだよ。実物は、もっとイケメンだから。バンドやってるから芸能人みたいなもんよね」

花江は含み笑いをして言った。


「ボクのパパー」

恭ちゃんも言った。


「でも、やっぱり佑実の旦那さんには負けるわね。うちの旦那、大人じゃないし」

ちょっと、皮肉ってみた。


佑実は顔がひきつってた。

「確かに、こんなに若いと、まだ遊びたいだろうし浮気が心配ねー。京子、大変っ。私は年下の旦那は無理ー」


「まあね。私、身長高くて年より老けてみえるから、旦那の姉に、よく間違われるのよー。ほんとに佑実は、ちっちゃくて可愛いから、羨ましい」

またまた皮肉る私だった。


「私も横周りすごいから、でかく見られて旦那の姉に間違われるよー」

今度は花江が言った。



「ほんと佑実は、ちっちゃくて童顔だから若く見られて羨ましいー」

花江は念をおして言った。


「あっ。おばちゃん、目に、なんかついてるー」

恭ちゃんが佑実を見ていった。


「恭ちゃん、佑実おねえちゃんでしょう」

私は、恭ちゃんを注意した。


「おばちゃん、目の横にカラスの足跡がついてるよ」

恭ちゃんは、佑実の目の横のシワを見て言っていた。




「恭ちゃん、ひどいー。おねえちゃん泣いちゃうー」

佑実はアヒル口をして言った。

41歳のアヒル口。

ぶりっこは、何歳になっても、ぶりっこなのだろう。




41歳のアヒル口。

決して可愛くはない。

たとえ童顔でも。





あー。疲れた。


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