その程度の女。
「京子先生の旦那さま。かなり年下ですよね。イケメンだしバンドやってるし。お金あるとイケメンと結婚できるんですね。羨ましいー。お金目当てに決まってますよね。お金あると若いイケメンに、ちやほや、されて、いいですね」
花田さんは、調子にのってルキアくんに私の批判をした。
「京子さんを悪くいうなっ。なんも分かってないくせに。アンタみたいに上司に言われたことしか出来ない、ちんたら仕事してるアシスタントと一緒にするな。京子さんは、リョウタさんのためにレーベルまで、立ち上げたんだぞ。アンタに、そんなこと、できるのか?すぐ男と寝るような女のくせして。足りない頭を男と寝て、ごますかすなよ」
ルキアくんは怖い顔して、珍しく、声をあらげて言った。
「どーした?ルキアくん」
秋元さんが、ルキアくんの声が聞こえたのか来た。
「こいつ、京子先生の批判してましたよ。仕事の出来ないアシスタントのくせにして、何様なんですかね。人の印象を悪くしようとして陰口を言う女、嫌いなんですよ。」
そう言って、ルキアくんは帰って行った。
その頃、私はリョウタと恭ちゃんと浅草にいた。
「RSKのライブ成功するように、お祈りしよ」
三人で、並んでお祈りした。
「おじいちゃんと、おばあちゃんに人形焼き買っていこうか」
「うんっ」
「京子、お義父さんに、お酒買いたい」
三人で、東京を楽しんだ。
そりゃあ。10歳も年下のイケメンの旦那を見たら誰だって、お金目当てか、年上女に狙われて騙されたって思うよね。
まあ、そう思われても仕方ないけど。
でも、だったら、おまえも自分で働いて若いイケメンを捕まえたらいいだろーが。
努力もしない男に媚びるしかない女に、言われたくない。
「先生、秋元のアシスタントの花田は、Terezishonの担当から外れてもらいました。粗相があったみたいです」
江口さんから電話が来た。
「京子。また東京行ってきたの。いいなー」
花江にお土産を渡した。
「ルキアくんに会ったよ。花江に会いたいって言ってた」
「私も、ルキアくんに会いたい。でも、デビューするから忙しいだろうな。もう手の届かない人になってしまうんだね。ルキアくん」
花江は、しみじみと言った。
「大丈夫だよ。売れても、ルキアくんは変わらないよ。ライブに来たら、行こうよ」
ルキアくんは変わらない気がする。サービス精神旺盛で、屈託のない笑顔で、いつまでも少年のように。
恭ちゃんが寝てから、リョウタが言った。
「ルキアくんさ。甘えられる女に、出会えるといいね」
「ルキアくんなら誰でも甘えさせてくれるんじゃないの」
「んー。ルキアくんは甘えてないよ。甘えた経験ないと思う。なんかオレと似てるから。だから、京子に甘えられたら困る。京子に、甘えるのはオレだけにしてほしい」
私を膝枕にして、リョウタは言った。




