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カタオモイ。

私がお風呂に行ってる最中に、 ルキアくんから電話があった。


「なに?」

リョウタは、怪訝そうに私の携帯に出た。

「あっ。京子さんは?」

ルキアくんは、リョウタが出たので驚いたみたいだった。


「風呂、入ってる」

「じゃあ。いいです」

そう言って、ルキアくんは、すぐ電話を切った。


「なんなの。用があるならオレに言ったらいんじゃねーの」

リョウタは、ぼやいていてた。


私が部屋に戻ると、リョウタがルキアくんから電話があったことを言った。


「折り返し電話欲しいって言ってないんでしょう。じゃあ、急がないだろうから、あとでメールしとく」

「いいのかよ。電話しなくて?」


リョウタは自分が私に伝えてないと思われるが、嫌なのか、私に言った。


「急ぐなら、またよこすよ。ルキアくん、デビュー前で、忙しいから、あまり、こちらからしたくない」


「ルキアくん。京子のこと、いつも社長さんって、呼ぶのに、名前で呼んでた。ルキアくんと、やっぱ、なんか、あったのか?」

リョウタは、細かいことを気にして言った。


「そう?気分じゃないの」



もしかして京子の声を聞きたくて、電話をしたのか。

オレも、あの時、そうだったから分かる。

無理矢理、用事を作って京子に電話してた。

ライブのチケットを売って欲しいとか。

金を貸して欲しいとか。

京子の声を聞きたくて、

会いたくて、

だから、ない用事を無理矢理作ってた。




「それ。ちょっと、まじかも知れないですね」

駿くんが言った。

スタジオで、バンドの連絡が終わってからリョウタと駿くんは話した。カンジくんは、仕事が残ってるからと先に帰っていた。


「ルキアって、イケメンだし愛想いいし、ホストやってたから気が利くとかあるし、ルキアが誘えば気にいった女と、だいたい付き合えるんですよ。だから京子さんは、手応えないし、自分に向いてないのがわかるから、一層、本気になってるんじゃないですか。振り向いてくれない女って、追いかけたくなるじゃないですか。ルキアって付き合ったら、冷めるのが早いんですが、京子さんとは、どう、あがいても付き合えないから自分に浸ってるんじゃないですかね」


「もしかして、オレ、ヤバイ?」


リョウタは、駿くんにルキアくんに負ける不安から聞いた。


「全然やばくないですよ。京子さんはリョウタさんに一途って、ルキアも分かってますよ。たぶんルキア、デビュー前で、不安とかあって京子さんは、そのルキアの不安を悟って優しくするから、つい甘えたくなるし頼りたくもなるんじゃないすか。京子さんはルキアを年下の可愛い男の子くらいにしか思ってないと思いますよ。でもルキアは、周りをかまわずガンガン告白するとこ、あるから、そこですよ。京子さんに、まじに告白してフラれるしかないですね」


「でも、オレ、なんかルキアくんの気持ち分かる」

リョウタには、珍しく理解を示している。


「リョウタさん。あからさまに嫉妬しちゃうと、一層ルキアを燃え上がらせるから旦那の余裕をみせるしかないですよ」

駿くんが言うことも、一理ある。



「花田、あんまりルキアくんに肩入れするなよ」

tracks Japanの秋元さんが、アシスタントの28歳の花田さんに言った。


「べ、別に、肩入れしてないですよ」

花田さんは、びくついて言った。


「花田、もろに顔に出てるぞ。ルキアくん来ると、全く顔が違う。なんか、28歳の独身女がイケメンの年下の男に、必死に、 がっついてる感じで見苦しいぞ」

なかなか秋元さんは、ハッキリ言う上司らしい。


「ルキアくんに、愛想よくされて勘違いする気持ちも分からないではないが、仕事覚えてからにしろよ。若い男を囲うのわ。おまえは、まだそのレベルじゃない」


「別に、ルキアくんのことなんて、なんとも思ってないですよ。ただ担当だから対応よくしてるだけですよ。いい加減なこと言わないでください。仕事ですよ。仕事の付き合い」


花田さんは秋元さんに見透かされたのか、焦って言い訳をしていた。


「立場かんがえろよ。ルキアくんは、我が社所属のアーティストだぞ。京子先生が推してるバンドなんだから、うちの社員が手を出したじゃ、京子先生の曲を使えなくなったら、どうする気だ。そういう男探しに仕事するのは、やめてくれよ」

秋元さんに容赦なく言われて、花田さんは、たじたじだった。



別にルキアくん、可愛いなーと思ってるだけですよ。

年上の私なんて相手にされるわけもない。

花田さんは、そう思っていた。



打ち合わせも兼ねて、ルキアくんのバンド、Terezishonと、江口さんと花田さんは、飲みに行った。

ルキアくんはガンガン飲んでいた。


「花田、おまえ飲み過ぎ。」

秋元さんに、花田さんは注意されていた。



酔った勢いで、ルキアくんと花田さんは、二人で、はしご酒をした。

「ルキアくん、彼女いないの?」

花田さんは、調子にのってルキアくんに聞いた。


「いないです。オレ、片想いなんですよ」




朝、花田さんは、ホテルで目を覚ました。

えっ。やばい。

隣にはルキアくんが寝ていた。


私、担当のアーティストに手を出した?

ま、まずいーー。

しかも、デビュー前のルキアくんに。

花田さんは、顔が青くなっていた。


私、クビ?

せっかく憧れのレコード会社に就職したのに。

どうしようおー。



そうして、焦りすぎて花田さんは、寝ているルキアくんを置いてホテルを急いで出ていった。



「んっ?ここホテル?」

ルキアくんは、目を覚ました。



「ああ。花田さんと、やったんだっけ。まっ、いっか」



そして、ルキアくんはスマホを手にとった。

休みの日、リョウタがバンドの練習に行ってるとき、ルキアくんから電話が来た。


「京子さん。オレ、年上の担当の花田さんと、やっちゃったよ。どーしよ」


ルキアくんは花田さんと、やったことなど、別に問題じゃなかったが相談するふりをして、私に電話をした。






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