タッグを組む。
サントラの打ち合わせで、tracks Japanに、行った。
「社長さーんっ」
すると、ルキアくんがいた。
「ルキアくん。打ち合わせ?」
ルキアくんのバンドは、メジャーデビューが決まった。
「うん。デビュー前だから、色々あって、なんとなく忙しい」
ルキアくんは、少し痩せた気がする。
「ちゃんと食べてる?」
私は心配そうにルキアくんに言った。
「やめてよ。そんなふうに言うの。オレ、マジになるよ」
ルキアくんは、少し照れたように言った。
「どうして?母親が働く息子を心配する気持ちよ」
「なんだよ。はぐらかして」
ルキアくんは、少し拗ねたように私の目をそらした。
なんかリョウタみたい。
「先生。こちらです」
江口さんに呼ばれたのでルキアくんとは、そこで別れた。
サントラは気が重いが、監督も、サントラにして欲しいというので仕方なくおれた。
「先生。主演の松坂健人さんが来てるんです。ぜひ、先生に会いたいと言ってますので、会ってくれませんか」
ええっー。あの俳優の松坂健人くんにー。緊張するー。
江口さんは、松坂健人くんがいる会議室のドアを開けた。
「はじめまして。松坂健人です。20年前に作った曲だから、もっとオバサンだと思ってたけど若いですね。しかも美人だし」
そう言って松坂健人くんは、ニコッと笑った。
23歳で主演するくらいだから、気難しい若者だと思っていたが、松坂健人くんは可愛くて、話しやすいイケメンの若者だった。
でも松坂健人くんのお母さんは、46歳らしい。
たっ、立ち直れない。私と5歳しか違わないお母さんだなんて。
ショックすぎる。
なんか今日は、イケメンの若者二人と会って目の保養になった。清々しいし、爽やかだし、可愛いし素直な感じだし、若いって、いいな。
こんなの知れたら留守番してるリョウタに怒られる。
あとは、BEAT誌の奈緒美ちゃんと会った。
ライブの時に、地元に取材に来てくれるらしい。
「なんか悪いね。うちの地元まで、来てもらうなんて」
私は、遠くて大変だろうと思って言った。
「いいわよ。私、実家、同じ県だから、次の日休みだから、実家にも寄れるし。それにRSKのライブ楽しみだし」
そう言ってもらえると、嬉しい。
「旦那さんは、一緒に来なかったの?」
「うん。子供見てもらいたいから留守番」
「でも、京子ちゃん。マサトさんより、年下の旦那さんのが、あってる気がする。面倒見いいし。」
マサトとは、結婚なんて、考えてなかった。
私じゃなくても、女には困らないだろうし。
リョウタと恭ちゃんに、夕飯まで帰るって言ったのに遅くなってしまった。
「ただいま。あれ?恭ちゃんとリョウタは?」
家に帰ると夕飯は、終わってて8時だった。
「2階に行ったわよ」
私は、お土産も買ってきたので2階に行った。
「ごめーん。遅くなっちゃって」
私が部屋のドアを開けて言うと、リョウタと恭ちゃんは、ソファに座って怖い顔をしていた。
やばい。二人とも、怒ってる?
恭ちゃんは目に涙をためて、
「ママのウソつきっ。ご飯まで帰って来るって言ったのに。ボク、待ってたんだよ」
泣きながら、私に抱きついた。
「恭ちゃん。ごめんね。仕事で話をしてたら新幹線に間に合わなくて、次の新幹線で来たから、遅くなったの。ごめんね」
私は、恭ちゃんを抱き締めて言った。
「ルキアくんと、会ってたんだろ」
リョウタが、ムッとして言った。
「レコード会社で、偶然会って、話しただけだよ」
「やっぱ、会ってたのか。それで遅くなったんだろ。息子が待っていると言うのに、いい気なもんだな」
リョウタが、恭ちゃんに吹き込んだに違いない。
子供に姑息な手を使いやがって味方につけるなんて、むかつく。
「あと、急遽、主演の松坂健人くんに会うことになって、それで予定外だったの」
「なにー。あの松坂健人に、会ってたのか?!若いイケメンにあって浮かれてたんだろ」
リョウタは呆れたように言った。
「ごめん。お土産買ってきたから、機嫌治して」
「お土産買う暇あるなら、早く帰ってこいよっ」
リョウタは、まだグズグズ言っていた。
「ボク、お土産いらないから、ママに早く帰ってきてほしい」
恭ちゃん。なんて可愛いの。
でも、好きな男二人にタッグを組んで責められて、私は、たじたじだった。




