リリース。
RSKのミニアルバムが発売された。
宣伝のかいがあって、まあまあの予約枚数だった。
町の人は店に買いに来てくれた。
「京子さん、早くライブやりたいですよ」
駿くんが、野菜を配達に来たときに言った。
ミニアルバムを聴いたファンからも、「早くライブやって欲しい」というメールが多かった。
Avid crownと対バンとしてからワンマンと考えていたが、予想以上にミニアルバムの反響があったので、地元でライブ出来るように考えて見よう。
「もう、甲斐の倉じゃ収まらないじゃないかな。もう少しキャパがある会場の方が、いんじゃないですかね」
真吾くんが休憩時間に合わせて来てくれて言った。
まだホールって規模じゃないし、なかなか都会にあるライブハウスのようにライブが出来る場所は田舎では難しい。
「京子ちゃん。RSK、ライブの予定ないの?ライブあるなら、取材に行くから」
BEAT誌の倉本奈緒美ちゃんから電話来た。
「ミニアルバム聴いた。かなり良かった。詞も今の若い子達に響くと思う。だから、インディーズでピックアップしたいバンドで取材したいから、ライブあったら教えてね」
音楽雑誌の取材とならば、ぜひお願いしたい。
全国誌の音楽雑誌となれば宣伝にもなる。
でも、ライブ会場が問題だ。
夜にオーダーストッブしてから、兄が店に食べに来た。
「京子ー。なんでもいいから、食わしてくれ」
兄に余った食材で、パスタを大盛りにしてだした。
「あと、ウィンナーも」
どうせ、ただ食いなのに要求の多い兄だった。
「あっ。京子さ。リョウタくんのバンド、市民ホールで、ライブやってくれないかな。」
えっ。市民ホールで?どういうこと?
「市民ホールをお金かけて建てたわりには、これといって、動員できるイベントがなくてさ。コンサートをしようという話がでたんだが、なかなかこんな田舎に来てくれる歌手も難しくてさ。売れない歌手じゃ、動員見込めないし。で、若者もこれるコンサートは、地元のリョウタくんのバンドじゃないかと話になったわけ。妹が事務所やってるからって、頼まれてさ」
あの1年前に建てた市民ホールならば、キャパは500人くらだ。
RSKだけで500人も動員できるかが、問題だが悪い話ではない。
Avid crownと、対バンにすれば、どうにかなるかもしれない。
「大丈夫じゃないですか。市民ホールって、駅の近くだし、市外や県外からも、見に来るかも知れませんよ。それに市が絡むとなると宣伝もしやすいんじゃないですか」
真吾くんが、言った。
「そうね。じゃあ、話進めるわ」
私は、早速、市役所に行って打ち合わせをした。
RSKのMVも、YouTubeで、視聴回数が上がっている。
「リョウタ。市民ホールのライブで、Avid crownの新曲を発表出来るように、準備して。あと裕太くんのラジオでも、ライブの告知をガンガンするようにしてもらわなきゃ」
あとは、店でポスター貼ったりチラシ配って宣伝するしかない。
「私も、ママ友や、知ってる人に宣伝しとくわ」
花江も宣伝に協力的だった。
あとローカルテレビ局で働いてる理恵に頼んでみるか。
「じゃあさ。ライブ前に番組に来て演奏してくれないかな。かなり良い宣伝になると思うけど」
理恵に話したら、夕方の情報番組で宣伝させてくれるらしい。
私がピアノの弾いた映画はランキング1位になっていた。
主演の松坂健人くんは、好演が話題になり一層人気が出た。
「初めての映画での主演だったので、かなり不安がありました。でも出来上がった映画を見て、エンディングのピアノで感動を大きくしてくれました。あの曲を作曲して、ピアノを弾いてくれたkyokoさんに会いたいです」
トーク番組に出た松坂健人くんは言った。
えっ。会いたい。社交辞令だよね?




