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ディナータイム。

土曜日のディナータイム。

「あっ。梨佳ちゃん、いらっしゃい」

「恭ちゃんのパパだー」


リョウタは、梨佳ちゃんとハイタッチをした。

専業主婦の梨佳ちゃんのママが、子供三人を連れて来店した。


「梨佳が、聡くんや明奈ちゃんが、恭ちゃんのママのピザが美味しかったって言ってたと言うもんだから、来たんです」

梨佳ちゃんのママは、子供に言われて、仕方なく来たように言った。


梨佳ちゃんのママは年少の梨佳ちゃんの他に、小学校一年の男の子と二歳の男の子がいた。


「ママー。ナポリタンも食べたいー」

「はいはい。今日は、好きなの頼んでいいわよ」

梨佳ちゃんのママは、なんだか投げやりになっているようだった。


「すいませーん。ミックスピザと昔風ナポリタンと、アスパラとベーコンのパスタと、マカロニグラタンと、リンゴジュース三個と、アイスティーお願いします。」

梨佳ちゃんのママは、リョウタを呼んで注文した。


「旦那さんは、まだ、お帰りじゃないんですか」

リョウタが、梨佳ちゃんのママに聞いた。


「会社の飲み会だって。毎日、飲み会なのよ。こっちは、一人で三人の子供の世話してるというのに、いい気なもんよ。まったく育児は、知らんぷりで、むかつく。私は旦那の給料で、やりくりして、節約して外食を控えてるというのに。だから、今日は食べてやりますっ」


梨佳ちゃんのママは、そうとう旦那に対して不満があるようだ。



「京子ー。リョウタくん、この間は、ありがとう」

和津が、息子さん二人をつれてきた。

「和津、来てくれてありがとう」

私は、和津にお礼を言った。

「旦那が飲み会でいないから、ご飯食べにきたのよ。息子もリョウタくんに用があるみたいだし」


息子さんさん二人は、リョウタを見て緊張してるようだった。

「ほら。隆二。リョウタくんに渡しなさい。自分で渡さなきゃだめよ」

和津は、長男の息子さんに言った。


「これクラスの皆から、お礼の手紙が入ってます」

そう言って、隆二くんはリョウタに手紙が入った袋を渡した。

「ありがとう。クラスのみんなにも、お礼を言っててね」

文化祭でライブに来てくれたお礼の手紙らしい。



「美味しいーっ」

梨佳ちゃんがピザを食べて言った。

「ナポリタンも美味しいー。ママのより美味しいー」

小学一年の長男も食べて言った。


「ママー。グラタン。もっと食べたい」

二歳の次男も、言った。

「そう。良かったわね」


梨佳ちゃんのママは投げやりに言った。

確かに、一人で小さい子供三人の世話は大変かもしれない。これでは働きたくても働けないだろう。

リョウタに、梨佳ちゃんのママに食べ終わったら、プリンをサービスで持っていくように言った。

「こちら、シェフからです。」

リョウタは、梨佳ちゃんのママと子供達にプリンを持って行った。

梨佳ちゃんのママはキッチンにいた私に頭を下げた。


「わー。プリンだー」

梨佳ちゃんは、プリンに喜んでいた。

「プリン、美味しいー」

梨佳ちゃんのお兄ちゃんが喜んで言った。

「プリン、食べたら帰るわよ。お風呂も沸かさなきゃいけないし」

梨佳ちゃんのママは言った。


「ママー。今日は、恭ちゃんのママのお店に連れてきてくれて、ありがとう。すっごい美味しかった」

梨佳ちゃんが、ママに言った。

「ボクも、美味しかった。来てよかった」

「ボクもー。おいちいー」

息子さん達も言った。


「そう。ならよかった。たまには私達だって外食しないとねー」


梨佳ちゃんのママが会計をすまして、リョウタに言った。

「ありがとう。美味しかったです」


まあまあ、なにかと専業主婦は大変アピールする梨佳ちゃんのママだったが、本当に大変だったみたいだ。

「恭ちゃんのパパ、バイバイー」

梨佳ちゃんは、リョウタに手をふった。




梨佳ちゃんが、帰り道に梨佳ちゃんのママに言った。

「恭ちゃん、夜はママといれないんだね。かわいそうだね」

「そうだね。やっぱり働きながら子育てしてるママは、偉いね」

梨佳ちゃんのママは、言った。



店が終わって家に帰ってから、リョウタは和津の息子さんに貰った手紙を読んでいた。


「リョウタさん。文化祭に来てくれてありがとうございます。クラスの皆と、RSKのライブが見れて最高でした。勉強がつらいとき、Avid crownとRSKを聴いて、頑張ってます。リョウタさんの作る曲が好きです。リョウタさんのギターも好きです。リョウタさんは、オレの憧れです。また、この町で、ライブやって下さい。」

和津の息子の隆二くんの手紙には、そう書いてあった。




「オレ、自分が憧れられるような奴になるとは思ってなかった。」

リョウタが憧れた人がいたように、誰かに憧れて原動力にする。




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