answer
母校の中学校の文化祭が行われた。
体育館で、催し物が一通り終わったときに、アナウンスがながれた。
『校長先生から、大切なお話があるので生徒は残って下さい』
生徒達は校長の長い話と知りと、面倒くさそうだった。
緞帳が下り生徒達は待たされて、ぶーぶー言った。
三年生は前列にいた。
緞帳が上がり、凄い音で演奏は始まった。
生徒達はRSKと知ると、すごい声援で立ち上がった。
生徒全員がRSKを知っているわけじゃない。好きなわけじゃない。だからRSKの音楽で、生徒達に伝えるのは難しいかもしれない。でも進路に悩み、勉強に悩み、友達関係に悩み、行き詰まってる子がいたら、違う音を入れてみるのもいいかもしれない。
コピー曲を2曲。
オリジナル曲を2曲したあと、リョウタのMCが入った。
「ラストの曲です。受験生でもある3年生に送ります。『answer』」
目の前には、問題山積み。
人に、聞いて解いたって
それは、自分の答えじゃない
ひとつの愛を大切に出来ない奴が
新しい愛を語るのは、可笑しくね?
親が決めたルールも
たまには間違っている
人が言うことばかりしてちゃ
真似してちゃ
何も見つからない。
そこに答えはないんだよ。
答えは自分で探すんだよ。
『answer』
作詩曲。ryota
「私達の中学ん時、この町なんもなかったよね。」
体育館の後ろで見ていた和津が言った。
「そうね。メールもスマホもない時代だった。店もなんも、なかったよね。もちろんライブなんて見れなかった」
花江が言った。
「今の子はいいよな。文化祭でサプライズで、好きなバンド見れるんだから。オレも中学んとき、こういうのあったら、外に出てたかも知れない」
福田くんはRSKの演奏を見ながら言った。
「私達のとき何もなかったから。だから今の子には、沢山、音楽聴いて、沢山見て自分で決めて欲しい。田舎のしきたりが、まだ残ってるけど、それに子供達を縛りたくない。」
私は、言った。
大人になってから何もしてこなかったと、後悔してほしくない。
RSKの演奏を聴いて、泣いてる生徒もいた。
中学最後の文化祭の良い想い出になってくれただろうか。
「写真撮ろうか」
演奏が終わり、リョウタが生徒達に言った。
ステージ上から、RSKと生徒達とで写真を撮った。
私はRSKの演奏が終わり、校長先生に挨拶に言った。
「今日はRSKを演奏をさせて頂いて、ありがとうございました」
「笹原さん。こちらこそ、生徒達のために、来てくれて、ありがとう」
校長先生は、私が中学生の時に担任だった。
「教育者の私が、云々言うより影響力あったかも、しれませんね」
校長先生は言った。
時代が違う大人が言っても説得力がないかもしれない。
人生経験があったとしても、それを自分の言ってるのが正しいんだと押し付けても正しくない。
結果論が好きな大人達。
結果が出てから、そうなると思ったのよ。なんで、そんなことしたのよ。間違ってるのよ。
やんやと言う大人。結果出てからなら、誰だって批判できる。否定できる。
予測は、難しい。
もちろん間違っていることは、間違っていると教えるべき。
でも経験のない大人が、これから経験をしていく若者を見下すのは、おかしい。




