おばちゃんトーク。
日曜日を休業日にしてるせいか土曜日は、ランチもディナータイムも混む。私がタウン情報誌に載ったためとは思いたくないが、最近、一層混む。
よってディナータイムを手伝ってくれてる大学生のバイトの潤くんに、土曜日にランチタイムを手伝ってくれないかとお願いしてみた。
「いいですよ。土曜日は大学休みなんで、ランチタイムはいれます」
潤くんは、快く土曜日も入れると言ってくれた。
「でも、潤くんが暇な土曜日だけでも、いいのよ。潤くんだって、大学休みのときは遊びたいだろうし。彼女とだって、デートしないとね」
私は潤くんに物わかりの良いオーナーぶり、彼女のことまで、聞いてしまった。
「あっ。オレ、今、彼女いないんで、全然いいです。バイトきて、リョウタさんとギターの話をしたいし」
美少年の潤くんは、彼女いないらしい。
「あー。それは、おばちゃんの言うセリフだね。」
私は、次の日に、休憩時間に、昨日、潤くんに、遠回しに彼女のことを探りいれるように聞いてしまって後悔してることを花江に言った。
「私も言ってから、しまった。と思った。いかにも詮索好きなおばちゃんのセリフだよね」
「そのデートって言い方が、おばちゃんだよね」
そう言って、花江は笑った。
「確かに、オレも若いとき、彼女のことをしつこく、おばちゃんに聞かれるのウザかった。」
リョウタが、お弁当を食べながら言った。
「私、潤くんにウザく思われたのーー」
私は、ショックで、うなだれた。
「で。今、彼女いないんでしょう?」
実は、花江は潤くんの彼女いるかいないかに興味津々だった。
私に聞かせて、それはない。
「高校ん時は、いたけど大学が別々だから、別れたみたいだよ。彼女は埼玉の大学行ったらしい」
リョウタが言った。
「私が潤くんの彼女だったら、行きたい大学より潤くんを選ぶわー。潤くんと同じ大学に行く」
花江が自分に例えて、想像して言った。
なんか私と花江、おばちゃん二人の会話が、むなしい。
「まあ花江さんは、そうでしょうね。」
リョウタは、呆れたように言った。
あまり若いイケメンに、はしゃいでると潤くんに、嫌われる。気を付けなくては。
「メンチカツ、うまっ」
リョウタが、お弁当のおかずのメンチカツを食べていった。
「確かに美味しそうなメンチカツね。京子の手作り?」
花江が食べたそうに言った。
「うん。恭ちゃんも好きだから夕飯に母親が焼くだけに作ってきたの。リョウタには、お弁当に入れた」
「京子のメンチカツ、すげーご飯がすすむんですよ」
リョウタが花江に言った。
「リョウタくんは、京子に胃袋をつかまれたわけね」
「胃袋だけじゃないですよ。身も心もです」
リョウタは、あっさりと言った。
「ふーん。いいわね。」
花江は、羨ましそうに私を見た。
「やっぱさ。京子、料理本出したほうがいんじゃないの。」
そうなのである。慶子にタウン情報誌の別冊として、料理本出さないかと言われているのである。
「私みたいな無名が出しても、売れないでしょう。」
テレビのコーナーを持っているわけでもないし、料理ブログやってるわけでもないし。無理がある。
「今、ちょっとブログで人気あると素人でも本だすし。京子は料理教室もやってるんだし、シェフでもあるし、プロなんだから料理本出しても、おかしくないでしょう。京子に、旦那さんが喜ぶ料理や、彼氏が喜ぶ料理を教えてほしいわ」
花江は言った。
「あと、お弁当も紹介したりしてさ。いんじゃないのー。あっ、イケメンを捕まえる料理っていうのは、どう?」
なんか、花江は面白がっているようだ。
色々、仕事の話が来るのは悪いことじゃないが、料理本となると、売れないことには、慶子にも悪いしな。
簡単な話ではない。
「私が買うわよ。娘も買うし。友達にも売り込むから。宣伝は私に任せて」
花江が、宣伝してくれるなら、かなりの部数が期待できるかも。
「イケメンご飯って、タイトルはどう?」
花江は、意気揚々と言った。
んっ。どっかで聞いたような。なんかのパクリ?




