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年上旦那VS年下旦那。

ランチタイムが終わり、休憩時間に、リョウタがお弁当を食べてるのを見て花江は言った。

「リョウタくん、まかない食べないの?」

作りたてのまかないのほうがいいと思って花江は言ったのだろう。

「オレ、付き合ってた時から、京子の作る弁当好きなんで」

そうなのである。リョウタは、昔から、私のお弁当を美味しそうに食べていた。リョウタが20歳の時に、独り暮らしでロクな食べていないだろうと、リョウタにお弁当を作って持っていたのが、始まりである。

「恭ちゃんのお弁当作るから、ついでに、リョウタのお弁当も作ってるの」

私は、花江に言った。

「そうなんだ。でも、愛妻弁当を美味しそうに食べるリョウタくん、可愛いわね。やっぱ年下の旦那さんって、いいなー」

花江は、リョウタがあまりにも美味しそうにお弁当を食べてる姿を見て、羨ましそうに言った。

「花江だって、旦那さんお弁当でしょう?」

「そうなんだけど。作りがいがないのよ。面倒くさいから、娘と同じおかず入れると、『あんなカロリー高いのじゃ、血圧高くなる』と言うし、ホウレン草のおひたしを、詰めると、『おかずにならない』って、文句いうのよ。年寄りだから、食べ物に煩くてさ。10歳も年上の旦那なんて、可愛くもないし、うるさいだけよ。私も若い旦那がいいー」

あー。花江の旦那、51歳だもんね。食事に気を付ける年齢ではあるだろうな。それは、それで大変だな。


私は、会社の上司に、憧れるようなオッサンいなかったから、すごい年上と、付き合ったことないから、花江の苦労がわからないが。

会社の上司のオッサンは、ネチネチ、イヤミをたらたら、陰湿、クドイ、うんちくを語る、そんな上司ばかりだったから、良いイメージないない。


「結婚したときは、私20歳だったから、30歳の男性は大人で、頼りがいがあって、お金持ってて、そんなカンジで、同級生の男には、ないものがあるように見えたのよ。今、考えると早まったな。」

花江は、大きな溜め息をついた。

「それは、仕方ないんじゃないの。20歳の年下いったら、高校生とか中学生とかになるんだし。大人の男性に憧れる時期でもあるよ」

私も大学生の時は、1こ上の先輩でも、なぜか大人に見えたし。


リョウタは、私と花江の話を全く気にせず、お弁当を食べていた。

お弁当を食べてるリョウタを見ると20歳のリョウタ思い出す。



20歳のリョウタ、可愛かったな。



リョウタに、若い私を見ると怒ってしまったけど、なんか、その気持ちも分かる気がする。



「リョウタも、オッサンになったら、オヤジ臭くなるのかなー」

20歳のリョウタが、あまりにも純粋で可愛かったので、思わず言ってしまった。

「ならないわよ。リョウタくんが、オッサンの年になったとしても、京子との年の差は、変わらないんだから、やっぱり年下の旦那さんよ。京子も年もとるんだから、自分より若い旦那さんには、変わりないよ。私の旦那は、10歳上には、変わりないのよ。ジジイになるだけ。あと、9年で定年で家に毎日いられるかと思うと、自由がない」


花江、切実だな。



「京子。恭、寝たんだろ。なら、こっちこいよ」

ソファで、テレビを見ていたリョウタが、ベットにいた私を呼んだ。

「私も眠くなったから、寝たい」

「はっ?オレ、待ってたんぞ。」

私は眠いけど、仕方なくソファに行った。

恭ちゃんの相手が終われば、リョウタの相手をしなくちゃいけない。リョウタは、仕事でも、一緒なんだから、いいようなもんだけど、甘えたがって、恭ちゃんが寝ると煩い。


「京子。耳かきして」

膝枕して、耳かきしてやると、リョウタは、気持ち良さそうにしてた。

確かに、年下の旦那で、良かったかな。可愛いとこあるし。

花江には、悪いけど、若いリョウタ見ると、癒される。

疲れてても、尽くしたくなる気持ちはある。



日曜日。リョウタは、ホームセンターに行った。

「あっ。花江さんの旦那さん。こんにちは」

リョウタは、花江の旦那さんに、気づくと挨拶をした。


「こんにちは。リョウタくん、爽やかだね」

花江の旦那さんは、息子のような年のリョウタに声をかけられて、眩しいようだった。


「前、都会の家族で、リョウタくんのライブ行ったけど、最初は若者が多いライブなんて、気が進まなかったけど、行ってみたら、私の若いとき思い出したよ。私も若いとき、60年代の洋楽好きでさ。バンドやりたかった時期あったんだよ。これでも」

花江の旦那さんは、色々語りだした。


「Bいいですね。古いバンドですけど今聴いてもカッコいいですね。」

「Bは、偉大だよ。」

花江の旦那さんは、染々と言った。青春時代を思い出したんだろうか。



「リョウタくん。若くてイケメンだから、京子さんに優しくしてもらえるんだろ?私なんて掃除するから、邪魔って、女房に追い出されたよ」

花江の旦那さんは哀しそうに言った。


「はい。京子、優しいです。でも花江さんも優しいですよ?面白いし、一緒にいて、楽しいんじゃないですか?」


「そりゃ。花江もリョウタくんには、優しいと思うよ。花江、若いイケメンに目がないから。娘もイケメン好きだから、花江と娘は、京子さんを崇拝してるよ。若いイケメンを旦那にした憧れの女性みたいだよ」


なかなか花江の旦那さんも、花江と娘さんに組まれては、肩身が狭いようだ。


「花江も、結婚した20歳の時は、可愛かったんだけどさ」

溜め息まじりに、花江の旦那さんは言った。


「あっ。それ、絶対、花江さんの前で言わないほういいですよ。京子も若いときの京子のことを言うと、若いときのほうがいいのねって、怒るんで」

リョウタは花江の旦那さんに言った。




「難しいな。41歳の女房って。機嫌損ねないようにしないと」

花江の旦那さんは、辛そうに言った。



41歳って。年は関係ないでしょうが(怒)



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