憧れのランド。
ホテルをチェックアウトして、リョウタ達は車で出発した。
私と恭ちゃんと両親は、新幹線なので、時間が余裕があるから、どこか見物して行こうかという話になった。
夜8時。
「京子、遅かったな。心配したんだぞ」
リョウタは、もう先に家に着いていた。
「パパー。ラッキーに会ってきた」
恭ちゃんが、ラッキーマウスの帽子をかぶり、ラッキーマウスのぬいぐるみを持って、リョウタに言った。
「えっ。もしかして、みんなで、Dランドに行ってきたのか?」
リョウタは、すっかり拗ねてしまった。
「リョウタ、ごめん。」
リョウタは、二階のソファで、ふてくれて寝ていた。
「みんなで、Dランドなんて行くなんて、あんまりだ。オレは、いつか京子と恭と、Dランドに行くのが夢だったんだぞ。それなのにオレを除け者にして行くなんて、ひどいよ。オレは早く着いても夕飯食べないで、みんなの帰りを待ってたんだぞ」
えっ。Dランドに行くのが、リョウタの夢だったの?それは知らなかったから、東京に行ったんで恭ちゃんを連れていきたかったし、つい皆で行ってしまった。
「リョウタ、ごめんってば。でもお母さんも、お父さんも、孫とDランド行けて嬉しかったみたいで、リョウタくんが、いたら良かったのにね。と言ってたんだよ。じゃあ今度、リョウタと恭ちゃんと三人で行こうよ。リョウタが連れていって。」
「うん。連れていく」
やっと、リョウタの機嫌が直った。
うかつだったな。リョウタがDランドに行きたかったとは。
月曜日。ランチタイムが終わり休憩時間に、花江に東京のおみやげを渡した。
「私も東京ライブ行きたかったわー。ルキアくんにも会いたかったし。娘が受験生じゃないなら、行ったんだけどね。だから今度も地元でも、ライブやってよ。ルキアくんも呼んで。」
花江は、そうとう東京ライブに行きたかったみたいである。でも娘さんは受験生で、塾にも行ってるし東京までは無理だろう。
「あっ、そうそう。東京ライブに和津親子と、福田くん親子も行ったみたいよ。和津の息子さん二人も福田くんの息子さんもリョウタくんのファンでしょう。だから、せがまれたみたいよ」
花江が言った。
和津と、福田くんが東京まで、リョウタのライブを見に来てくれたなんて、すごい感動だ。
「私、和津も、福田くんも来てくれたのを気づかなかった。気づいたら、お礼を言いたかった」
「きっと、東京まで、見に行くなんて、いったら京子に、気を使わせるから、言わなかったんじゃないかな。でも、ついでに東京観光もしたみたいだから、親子で旅行出来て良かったんじゃない。だから、そんなに気にすることないわよ」
それにしても、東京まで見に来てくれるなんて。言ってくれたらライブのチケットだって用意したのに。
店が終わって、家に帰ってからリョウタに言った。
「中学の同級生の福田くんに、東京のライブに来てくれたこと、お礼を言いたいから、男子だけど電話していい?」
「ああ。いつか、オレに息子さんのことで、お礼を言った人だろ。いいよ。オレからも礼を言ってたと言ってよ」
こうして、リョウタの許可をとって福田くんに電話した。
「京子です。福田くん、東京のライブに来てくれたみたいで、ありがとう。言ってくれたらチケットは、こちらで、用意したのに」
「いいよ。いいよ。息子がどうしても、Avid crownとRSKの東京ライブが、見たいというから東京見物がてら、親子と行っただけだから」
福田くんは、私に気を使わせないようにか、東京見物がてらと、言ってくれた。
「本当に、ありがとう。主人も喜んでて福田くんに、くれぐれもお礼を言ってほしいと言ってました」
「いや、お礼を言うのは、こっちの方だよ。息子、すごい感動したみたいで今までにないくらい最高の日だったと言ってた。親子で良い思い出になるようなライブをありがとう。」
福田くんに、逆にお礼を言われた。
息子さんのいつまでも、心に残るライブになってくれたのなら嬉しい。
それから和津にも、お礼の電話をした。
東京ライブは行きたくても行けない人がいた。
今度は、地元でのライブを考えよう。
メジャーの話があった三人。でも地元に残ることを考えた。
だから、そんなRSKに地元で、ワンマンでライブをやらせてあげたい。
だからリョウタ、沢山曲作ってよ。




