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東京。

「やだー。ボクも行くー。パパばっかりー」

恭ちゃんが、東京について行くと、ダダをこねた。

「パパも、ママも、お仕事で行くの。だから、恭ちゃんと一緒にいられないんだよ」

「やだ行くー。ボクも行くー。」

土日に東京なんて、それは行きたがっても仕方ないのだが。



こうして東京に家族全員で、行くことになった。私とリョウタがライブの間、恭ちゃんの面倒を見るために両親にも来てもらうことにしたのである。



土曜日のライブなので、リョウタ達は機材があるために、車で朝早く出発した。私と恭ちゃんと、両親も朝イチ番の新幹線で行った。



東京について、恭ちゃんは両親に任せて、ライブ会場に行くと、ルキアくんがもう来てた。

「社長さーん。久しぶりー」

相変わらず、無邪気な笑顔で、私を迎えてくれた。


「音楽雑誌の取材あるんですよー」

ルキアくんはインディーズバンドとはいえ、人気バンドのボーカルだったから、新しいバンドを組めば、取材依頼もあるだろう。



「BEAT誌の倉本と申します。ルキアさんの取材にきました」

楽屋に、音楽雑誌のライターがきた。


「もしかして、京子ちゃん?」

ライターの倉本さんが、私の名前を言った。


「私よ。覚えてない?speck crewのライブで、よく会ってた奈緒美よ。」


ライターの倉本さんは、私が大学時代にライブで、よく会っていた倉本奈緒美ちゃんだった。


「えーっ。奈緒美ちゃん?就職して東京行ったのは知ってたけど、音楽雑誌のライターやってるの?」

「うん。東京で、OLを2年くらいしたんだけど、やっぱり音楽関係の仕事につきたくて、出版社に転職したのよ。でも京子ちゃん、なんで、ここにいるの?」

私は、奈緒美ちゃんに名刺を渡した。


「地元で、バンドの事務所してて今日は、うちのバンド2組が、ルキアくんのバンドと対バンするから来たの」

私は、ざっくりと今の近況を言った。


「Avid crownと、RSKの事務所の社長やってるなんて、すごいけど。でも京子ちゃんに、ぴったりね。あっ、今日、マサトさん来るみたいよ」

まじで?!マサトがくる。リョウタが機嫌悪くならないといんだけど。


「マサトさん。visionTXと、仲良かったし、特に駿くんとは、同県だから可愛がっていたよ」



そうは言ってもマサトが来るなんて、リョウタの機嫌が心配だ。

と、いうことで昔のよしみで、急遽、ルキアくんだけでなく、Avid crownとRSKの取材もしてくれることになった。音楽雑誌の片隅でも、載せてもらえるなら嬉しい。



リョウタ達の車が到着した。

リハを始める前に、リョウタに奈緒美ちゃんを紹介した。


「奈緒美ちゃん。夫のリョウタです。Avid crownとRSKを兼用してます」

「はじめまして。BEAT誌の倉本です。京子ちゃんとは、大学時代にライブ仲間でした。今日は、ライブの様子を取材させて頂きますので、宜しくお願いします」

「リョウタです。その節は、京子がお世話になりました。今日は、宜しくお願いします」


リョウタは、奈緒美ちゃんに頭を下げた。


「京子ちゃん。旦那さん、若くてイケメンねー。羨ましいー。」

奈緒美ちゃんは羨ましそうに言った。奈緒美ちゃんは、バツイチらしい。



ライブにはAvid crownのファンが、わざわざ東京まで、来てくれた。

キャパ300人くらいのライブハウスだが、一応チケットは、完売した。ルキアくんの新しいバンドの東京で初めてのライブと、あってか、かなりvisionTXのファンが来ていた。



会場には、やはりspeck crewのマサトが来ていた。




そして、Avid crown 東京でのライブが開演しようとしていた。


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