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対バン。

ライブハウスを押さえた。

キャパ400人、メジャーバンドが完売にならない場合もあるライブハウスである。

インディーズバンドで、ちょっとキャパ数あるかなと思ったが、ルキアくんの人気が、かなり高いみたいなのもあるし、地元バンドでもあるAvid crownの人気と、RSKの都会でのライブなので、力をいれてみた。



「京子ちゃん。久しぶり。京子ちゃんが、プロダクション始めるなんてね。でも、マサトと来てたときから、音楽のセンスはあったから、向いてるかもね」

「沢木さん、マサトのことは、言わないでくださいよ」

「ごめん。ごめん。でもさ、マサトがメジャーになれたのは、京子ちゃんのおかげもあると思うよ」


私が大学の時、付き合ってたspeck crewのマサトと、よく行ってた輸入レコードの沢木さん。その当時は、輸入レコードを経営していたが、今は3年前に、ライブハウスのオーナーとなった。

今日は、ライブの打ち合わせで、沢木さんと会った。


「visionTXは、人気あったね。この都市でも2回くらいライブやったと思うよ。それとAvid crownは、地元だから、チケット売れるんじゃないかな。解放すれば、500人キャパに増やせるけど、どうする?」

沢木さんが、言った。

500かー。あの若者から人気のあるメジャーのビジュアル系バンドも、この間、チケット完売ならなかったらしいから、キツイかもしれない。

「あとは、京子ちゃんの宣伝次第だな。オレ、FM局のディレクター知ってるから、ライブの宣伝に、ラジオ出れるように頼んでみるよ」

じゃあ、500で、行きますか。



しかし、大きな賭けだった。Avid crownも、visionTXも、こんな大きなライブハウスで、やったことはない。

ライブは、日曜日なので、会場使用料があがるが、チケット代は、あまり上げたくない。500キャパでは、スタッフも増やさなければならない。真吾くんに相談しよう。



ローカルFM局の夜の人気のラジオ番組に、リョウタと裕太くんが出ることになった。

ばっちりライブの告知をしてもらいたい。

理恵と、慶子にも、ライブの宣伝の協力してもらった。



ライブ前日。ルキアくんのバンドは、ワゴン車で、やってきた。

「社長さーん。久しぶりー」

ルキアくんは、ご機嫌な笑顔で、私に挨拶した。

「新しいバンド、Terezishon。ギターのヒロ、ベースのリュウ、ドラムのダイゴです。よろしくー」

ルキアくんは、メンバーを私に紹介をした。

「こちらは美人社長の京子さん。明日、オレらが、ライブやれるのは、社長さんのおかげ」

「宜しくお願いします」

メンバーは、私に頭を下げた。

「長距離運転疲れたでしょう。ホテル手配したから、明日のために、ゆっくり休んでね」


私は、土日月と、店を休みにした。リョウタと、マンションに来ている。恭ちゃんも、来たがったが、今回は仕事なので、我慢してもらった。



宣伝のかいが、あってか、チケット、当日券でるが、ほぼ完売に近かった。

ライブスタッフは、真吾くんが、農業青年会の若者を連れてくるらしい。



ライブ当日。

地下にあるライブハウスは、開演3時間前でも、ファンの子が来ていた。visionTXのファンが、わざわざ東京から来ているらしい。

会場の時間になると、花江家族の姿があった。女子会グループの同級生も家族で、来ていた。店の常連客も来ていた。なんと、私が都会の商社で働いてたときの後輩の南美と田中くんも来ていた。

「京子さん。社長になってるなんて、凄すぎますー」

南美は、23歳から、婚活に励んでいたが、29歳になった今も、結婚していない。

あとは、慶子が、タウン誌で、ライブの様子を掲載してくれるらしく、カメラマンを連れてきていた。

テレビ局勤務の理恵も旦那ときていた。


トップバッターは、Avid crownで、盛り上げてもらうことにした。

次に、RSK。最後に、焦らして、Terezishon。ルキアくんの復活を早くみたいファンが、沢山来ていた。



RSKは、都会のライブハウスは、初めてだったが、なかなか盛り上がった。



「ひっさしぶりー」

ルキアくんが、登場した。

すごい声援だった。ルキアくんを見て号泣しているファンもいた。

「大きなライブハウスだねー。復活にふさわしいっ」

そういって、ルキアくんは、無邪気な笑顔で、歌を歌い始めた。

Terezishonは、すごい盛り上がりだった。

アンコールがなった。


今日来てくれた人達のために、とっておきのアンコールを用意した。

カンジくんと、駿くん、リョウタがステージにあがった。

そして、ルキアくんがステージに立った。

visionTXのファンから悲鳴があがった。

「特別、今夜だけ、visionTX復活します」

ファンは、泣き叫んでいた。

花江も、前列で、かぶりつきだった。


「1曲だけだぞ。ベースは、Avid crown、RSKのリョウタさんがサポートしてくれます」


「では、dearest。ちゃんと聴けよ。歌えよ。」

ファンは、泣きながらdearestを歌っていた。

好きなバンドの突然の解散は、悲しいものである。

CDは、繰り返し聴いても、あのバンドの新曲は、もう聴けないだなんて、思うと、悲しい。


ライブが終わり、会場のファンと、ステージ上のメンバー全員で、写真を撮った。


「ルキア、東京でも、ライブやってー」

東京から来たファンの子が叫んだ。


「じゃあ。Avid crownとRSKに東京に来てもらいますか。頼むよー社長さんー」

ルキアくんが言った。

ファンは、その言葉に喜んでいた。



来てくれたファンは、思い出になる良いライブになっただろうか。




花江を打ち上げに誘ったが、高校生の娘さんが、明日学校のため、泣く泣く打ち上げに参加しないで帰るらしい。

かわいそうなので、花江にバックステージに来てもらって、ルキアくんに会わせた。

「花江さん、来てくれて、嬉しいよ。ありがとう」

そういって、ルキアくんは、花江に、ハグをした。

相変わらず、サービス旺盛なルキアくんである。


花江は、完全に失神していた。



沢木さんの知り合いの店で、打ち上げをした。

「すげー、楽しかった。やっぱライブ最高だね」

ルキアくんは、言った。

お酒も入り、盛り上がって話をしているとき



「オレ、京子さんに恋しちゃった。」

ルキアくんが、また無邪気な笑顔で言った。





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