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街。

「新郎、新婦入場です。みなさん、盛大な拍手を」

私 、リョウタと、恭ちゃんは、手を繋いで入場した。


「新郎の笹原綾太さん、新郎の笹原恭くん、新婦の笹原京子さんです。新郎がお二人いますが、新郎の恭くんは、先日、新婦の京子さんにプロポーズをしました。そのプロポーズを京子さんは、快諾しましたので、今日の運びとなりました。」


司会の真吾くんのイキな計らいだ。恭ちゃんも新郎にしてくれるなんて。


「恭ちゃん、カッコいいわよー。私も恭ちゃんにプロポーズされたいー」

花江が声援を送った。

お母さん達も羨ましいわ。と、微笑ましそうだった。


「本日は、ライブ形式の披露宴パーティで、ございますので歌の方もお楽しみください。尚、料理のほうは、新婦の京子さんの料理教室の生徒さんが、心を込めて作りましたので、ご堪能ください。」

真吾くんの司会もなかなかだ。



まず、リョウタと駿くんと、カンジくんのバンド『RSK』からの演奏が始まった。

RSKは、まだオリジナル曲がないのでコピー曲をする。

園児もわかるアニメの主題歌をすると、園児たちはバンドの前に行き、一緒に歌い踊っていた。


「次は、京子が好きな曲。winding rode」

この曲が歌詞が大好きである。ウェイディングソングに、ぴったりかもしれない。


友人達の祝辞が終わり

「では。新郎の恭くんから、新婦の京子さんに向けてのメッセージをお願いします」


真吾くんが恭ちゃんに、マイクをセッテイグしてくれた。まだ、作文書けないので自分で言えることを言うみたいだ。


「ボクは、ママが大好きです。ママの作るお弁当も大好きです。あとボクは、ママのオッパイが大好きですっ」


恭ちゃんー、何を言い出すのよー。そんなこと言ったら、友達やママ達にも、バカにされるでしょう。

リョウタは、ブッと、吹き出して笑っていた。ったく、リョウタに似たんだよ。


お母さん達は、「可愛いー」と、笑っていた。


「ボクはパパより、ママを困らせないけど、ボクは、まだ子供なので、ママに手伝ってもらわないと、出来ないことが、いっぱいあります。でもママは、優しく、いつも手伝ってくれます。そんなママが大好きです。ずっと、ずっと、大人に、なってもママが大好きですっ」


恭ちゃんが、自分で思って言ったのだろうか。真吾くんが一緒に考えてくれたのだろうか。

沢山、大好きと言ってもらえて、嬉かった。いつか反抗期がきて、『くそババア』と言われる日が来るかもしれない。でも、今日言われたことは、忘れないだろうな。


「恭ちゃん、可愛いー」

会場は、恭ちゃんに盛大な拍手を送った。


「続いてケーキ入刀です」

料理教室の生徒が作ってくれたケーキに、リョウタと恭ちゃんと三人で、ナイフを持って入刀した。

三人でケーキ入刀をするとは思っても、みなかった。

やっぱり、披露宴やってよかったと感じた。


「続いて、新婦の京子さんからのメッセージです」

なんも考えてないが今日の感想を言うしかないか。


「本日は皆様、ご出席頂いて、ありがとうございます。私は気恥ずかしいこともあり、最初は披露宴は気がすすまなかったのですが、親子三人で皆様に祝って頂いて、今は、やってよかったなと思っています。真吾くんの洒落た計らいで、恭ちゃんのプロポーズを活かせました。恭ちゃんが大きくなっても今日のことは、忘れないと思います。みなさん、幸せな日にしてくれて、ありがとうございます。」


拍手が沸き起こった。

「京子は、幸せものよー」

花江が泣きながら叫んだ。



終盤に入り、Avid crownの演奏が始まった。

スピードのある曲をすると、今まで控えめにしてた聡くんのママが前列に行き、髪を振り乱し、ヘッドバンキングを始めた。

聡くんのママに呆気にとられたが、園児達も、聡くんのママを真似して頭を動かし始めた。

どーも、聡くんのママは、独身時代、ヘビメタバンドの追っかけをしてたらしい。それではママ友と、話が合わないかもしれない。


「もう我慢できないー。私もー」

今度は、道郎くんのママが、ヘッドバンキングをしだした。

あららー。いつも持ち上げてばかりのママ友に、取り入ってた道郎くんのママの変わりように驚いた。


道郎くんのママは、独身時代、パンクが好きだったらしい。だから息子さんも、ミチロウという、カッコいい名前なのかもしれない。


「じゃあ。みなさんにリョウタからです」

ボーカルの裕太くんが、リョウタにMCを譲った。


「今日は来てくれて、ありがとうございます。オレは、6年前に京子と、この町に来ました。京子以外に知ってる人はいなかった。でも、この町で生活すること、不思議と不安はなかった。それは、京子が生まれ育った町だから。京子の両親、京子の兄弟、京子の友達、京子の近所の人がいて、オレを暖かく迎え入れてくれた。京子と一緒なら寂しさもない。寂しさどころが、京子が大切にしてる人達が、オレの大切な人になっていって。そして恭が産まれて、オレの息子ができて、家族が増えた。こんな頼りないオレを受け入れてくれたこの町の人に感謝します。では、最後の曲聴いてください。『街』」


割れんばかりの拍手だった。


Avid crownは、『街』を演奏し、招待客も、全員で歌った。




こうして、披露宴パーティは無事に終わった。

素敵で、暖かい披露宴パーティだった。やって良かった。


「京子、今夜は初夜だぞ」

そういって、リョウタと、恭ちゃんと、三人で、ベットで、眠った。





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