若作り。
先日、リョウタと一日入園に行ったとき、偶然、父兄に高校の同級生の榎並くんがいて、少し話をしたら、リョウタの嫉妬深さが、また酷くなった。
榎並くんは、三番目のお子さんが入園らしいのだが、これでは幼稚園児のパパ達に、私が誘われるんじゃないかと、毎日リョウタは、心配してるのである。
しかし、他のママさんは、やはり若い人が多く、20代の人も、結構いた。なので、40歳の、いや、もうすぐ41歳になる私が、誘われるわけもないだろう。リョウタの過剰な心配である。
水曜日。
「お義母さんー。京子遅いんじゃないか。本当に買い物?」
リョウタが、私の帰りが遅いのを心配している。
「そろそろ帰ってくるんじゃないの。ショッピングセンター行ったんだから」
「それにしても遅い。遅い」
リョウタは、気が気じゃないようだった。
その頃、私は、化粧品売場にいた。
最近、シミが目立つようになり、くすみもひどい、ファンデーションのノリも悪い。やはり、年齢を考え、ワンランク上のシリーズを買わないとだめだろうか。
一人で、あれこれ見て悩んでいると、美容部員が近寄ってきた。
「何をお探してですかー」
あー高いの薦められそうだ。でも、もう美容部員に、相談するしかないだろう。
「最近。シミ、クスミが目立つようになりまして」
「でしたら、お肌チェックしてみます?」
私は、この際、してみることにした。
「んー。毛穴も目立つようなってきてますね。タルミもありますね。シミがけっこうありますね。目の回りが、乾燥で、小じわ目立ちますね。お肌に潤いが全くないですよね」
もうボロクソに言われている。容赦ない。おそろく、どん底に落として、高い化粧品を買わせる気かもしれない。
チェックしてもらっている間に、スマホが何度も鳴っていた。スマホを見ると、リョウタからのメールが、20件も着ていた。
「どこ?」
「何時に帰ってくるんだよ」
「まだかよ」
「なんで返信よこさないんだよ」
「どこにいるか言えよ」
たった一時間外出しただけで、うるさいなー。仕方ないから、リョウタに、ショッピングセンターの化粧品売場にいる。と返信した。
「お客様には、このシリーズがお薦めですね。この化粧水を使うと、潤いが戻ってきます。このクリームは、保湿力抜群です。あと、下地って、大切なんですよ。だから、下地クリームをしっかり塗って頂いて、このリキッドファンデーションを使うと、今までとは、ファンデーションのノリが違うと思います。お客様は、40歳ですから、パウダーファンデーションだけでは、カサつくと思いますよ」
値段は、全てが、7000円代だった。
ひえー。高すぎる。確かに若いときは、外資系の化粧品を使っていて、化粧品にお金をかけていたが、あのときは、若いから肌が何使っても、つるつるしていた。
やはり、若い旦那を持つということは、美容にお金がかかる。老化した肌にするわけには、いかない。少しでも若くみられたい。いくら若作りしても、肌で年齢が分かるというじゃないか。
「京子っ」
振り向くと、リョウタを息を切らし立っていた。リョウタは、待ちきれなくて、迎えにきたらしい。
「リョウター。今、化粧品選んでるんだから、もう少し待ってて」
「わかった。じゃあ、フードコートにいる」
リョウタは、私が本当に化粧品売場にいたので、安心して、フードコートに行った。
「旦那さまですか。すごいイケメンの旦那さまですね。あんな若い旦那さまじゃ、いっそう、お肌のお手入れに力入れなきゃいけないですねー」
美容部員は、これはかっこうの餌食だ。みたいな顔をした。
もう、なんで、リョウタ来るのよ。間が悪い。
そして、私は、その高いシリーズの化粧品を全シリーズを買った。
痛い出費だ。しかし、リョウタと並んで、いずれ親子に間違われないためにも、今から肌の手入れは、ちゃんとしなくちゃ。
フードコートで、リョウタは、スマホいじっていた。
「京子、化粧品買ったのか」
「うん。高かったー。リョウタのせいよ」
「なんで、オレのせい?」
リョウタは、意味が分からなく、きょとんと、していた。
夜に、リョウタが、ソファで、スマホ握りながら、うたた寝していた。でも、顔は、ニヤついていた。
また、へんな画像みてるのかしら。と思って、リョウタのスマホを見ていると、私の独身時代の水着姿の画像だった。付き合ってたとき、リョウタと海に行ったときの画像だ。
なんで、こんな、前の画像を見てるのよおー。
「リョウタっ、これ削除してよー。恥ずかしいー。」
怒って、リョウタを起こした。
「別にいいだろ。グラビアアイドルの画像見てるわけじゃないんだから」
リョウタは、聞き入れようともしない。
「リョウタ、やっぱり、今の私より、少しでも若いときの私のほうが、いいのねっ。ひどいっ。」
「違うって。今の京子のほうがいいって」
リョウタは、必死に言い訳をしていた。
ったく、美容にお金かけて、若さを保とうとしてる私の身になってよ。