労り。
Avid crownの事務所を設立してから、私は、お店が休みの日は、料理教室と、Avid crownの仕事の依頼があった場合は、打ち合わせに、費やしている。それと、幼稚園の行事にも参加しなくてはならない。幼稚園の役員を頼まれたが、それは、キツイ。しかし、恭ちゃんのために、引き受けるしかない。
そんなわけで、毎日、慌ただしいです。
「京子、また恭ちゃんと寝ちゃったのかしら。夜食食べないで、お腹すかないかしら」
夜食の準備をしてくれた母親が言った。
「きっと寝てますよ。朝まで、起きない」
リョウタが言った。
「京子、仕事増やして、無茶してないんだろうか」
心配そうにリョウタが母親に言った。
「でも、出来ないなら、最初から、しないんじゃないかな。都会の会社で働いてたし、シェフだけに、留まらないんじゃない。リョウタくんのバンドを訳の分からないプロダクションに入れるわけにはいかないって言ってたわよ。自分で、リョウタくんのこと、やりたいんでしょう」
私は、化粧も落とさず、朝まで爆睡してた。朝、シャワー浴びてから、恭ちゃんとリョウタのお弁当を作り、朝御飯を作った。
「京子、もう少し寝てていいのよ。朝御飯の支度は、私がやるから」
母親が、私が疲れてるのかと思ったのか言った。
「大丈夫よ。早く寝て熟睡するから、朝目覚めがいいのよ。夜食食べないから、朝御飯が美味しいし」
「リョウタくん、心配してたわよ。京子の体のこと」
母親が、私に言った。
心配。
リョウタが、20歳のときは、ワガママで、こうして欲しいって、甘え放題だった。
私のことは、労る気持ちなんかないだろうと思ってた。
10歳の年の差は、私の方が体力的に疲れていたが、リョウタに答えていた。
労れられなくても、いいかな。一緒にいれれば。
そう思ってた。
今、リョウタは、私のことを労ってくれる。
大人なるのは当たり前だけど、自分の気持ちばかりじゃなくて、人を労れる余裕できたのだろう。
ランチタイムが終わり、休憩時間。
私は、おにぎりを食べながら、仕事の依頼のメールをチェックしていた。
「あっ。○○銀行の石垣さんから、お礼のメール着てる。CMの反響がすごくて、新規の口座開設する方が、増えました。だってよー。あと、CM曲の問い合わせも多いってよ。良かったねー。リョウタ」
私がメールを見て喜んで言うと、リョウタは、あまり嬉しそうじゃなかった。
「どうしたの?嬉しくないの?」
「嬉しいけど。仕事増えると、京子キツイんじゃないかと思って」
リョウタが、気にしているようだった。
お店が終わって、家に帰ると、恭ちゃんを寝かしつけると、私も寝そうになった。
夜食を食べ終わったのか、リョウタが部屋にきた。
ベットで、寝ている私を見て、リョウタが言った。
「オレ、京子のために何かしてるんだろうか」
「リョウタが居てくれるだけで、幸せだよ」
半分寝ぼけて、私は、言った。
リョウタは、嬉しそうにベットに、入ってきた。
そうして、三人で、ベットで眠った。
リョウタと、恭ちゃんがいるから、仕事を頑張れるんだよ。




