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進路。

日曜日に、久しぶりに花江とランチした。

恭ちゃんが、幼稚園に行き出してからは、お迎えもあるので、花江とランチするのが減ってしまった。

「今さ。娘が進路で悩んでるのよ」

花江の娘さんの由衣ちゃんは、高校3年生になった。

「大学で、悩んでるのよ」

「どこの大学で、するかで?」

「そう。てっきり都会の大学行って、独り暮らしをするのかなと思ってたらさ。地元を離れたくないって言い出したの」

「えっ。なんで?」

この田舎に残りたいのだろうか。

「この町に、イケメンが増えたから、この町から出たくないって。ほら、あの子、私に似て、イケメン好きでしょう。だから、またイケメンが、増えたからって。」

確かに、カンジくんも、この町の人にはなったが。

「でも、都会の方が沢山イケメンいるでしょう。大学にいけば、それこそ、イケメンの学生いるよ」

「それも言ったんだけど。この町のイケメンは、レベル高いと、言うのよ。由衣は、同級生とか、幼いイケメンは、嫌らしいのよ。大人で優しいイケメン好きみたいでさ。で、この町のイケメンは、年上で優しいって」

えぇー。あいつらが、大人?私には、やんちゃにしか見えないが。

まあまあ、高校生の由衣ちゃんから見れば大人に見えるのだろう。


「私としては、一度は都会を経験させたいのよ。独り暮らしも、自立までとはいかなくても経験してほしい。私みたいに、大学行かないで、地元で結婚して、年をとってから後悔してほしくないのよ。なんか、私に似ないで、勉強頑張ってるみたいだから、どこかの大学には、行けると思うのよ。その勉強頑張ってるのも、京子みたいにキャリアつけて、イケメンを捕まえるんだって気持ちからみたいで。イケメンに、こだわってるのよ。」

まあまあ、目的は、どうであれ、勉強することは、悪いことではないだろう。


この地元にも、一応、大学はあるが、工業系で、由衣ちゃんの行きたい学部がないらしい。

「隣の市に県立の大学あるから、車で通うとかも考えてるんだけど。行きたい学部は、都会の大学らしい」

はあ。行きたい大学より、イケメンをとるのだろうか。

「この町は、みんな結婚してるイケメンなのよって言っても、悩んでてさ。お母さんばっかり、良い思いさせるわけにはいかないとか言い出して」


でも、後で、由衣ちゃんは、この町のイケメンのために大学を変えたら、後悔しないだろうか。


「由衣ちゃんは、何の学部に行きたいの?」

「文学部国文科」

確かに、この地元には、ない学部だ。

「なんの仕事に就職したいの?」

「ライターになりたいんだって」

ライターになりたいのに、この田舎にいるのも、就職は役場の広報の編集しかないだろう。


なのに、この町のイケメンに、こだわるのか。

「あのさ。リョウタくんから、娘に、自分の行きたい大学に行ったほうが、いいよ。って言ってもらえないかな。娘も、ナンバーワンイケメンの言うことなら聞くと思うのよ」

えぇー。リョウタが言うの?!それは、責任重大じゃないの。



「えっ。オレが、言うの?この町に居たいというなら、別にいんじゃないの。この町のイケメンと、結婚しても、いんだからさ」

やはり、リョウタも、由衣ちゃんに、都会の大学に行きなさいというのは、気がひけるらしい。


「今月、由衣ちゃんの誕生日があるんだけど。由衣ちゃんが、うちの店に食べに行きたいというから、花江に誕生日ケーキ頼まれたんだけど、そん時に言ってもらえないかなって言うのよ。」

「花江さんの頼みなら聞いてあけたいけど。進路は、オレがどーのこーの言うことじゃないだろ」

確かに、そうだけど。



由衣ちゃんの誕生日。

花江は予約時間に、由衣ちゃんと、旦那さんと店に来た。

「由衣、好きなのを頼みなさい」

花江は由衣ちゃんに、言った。

花江に頼まれた誕生日ケーキをリョウタが、持っていった。

「わあ。可愛いケーキ。嬉しい」

由衣ちゃんは、ケーキに喜んだ。

由衣ちゃんが、ロウソクの火を消すと、

「由衣ちゃん。18歳おめでとう」

そういって、リョウタが花束渡した。

「この花束は、オレと、真吾くんと、駿くんと、カンジくんからです」

いつの間にか、真吾くんと、駿くんと、カンジくんも来ていた。

「嬉しいー。私、花束もらったの初めて。それもイケメンにもらえるなんて、嬉しいです」

由衣ちゃんは、興奮していた。


「由衣ちゃん。由衣ちゃんのやりたいことをやったらいいよ。失敗は、やってみなきゃわからないんだよ。失敗を恐れて何もしないんじゃ、後悔するよ。」

リョウタが、言った。

「オレ、失敗だらけだけど、今、こうしているよ」

カンジくんが、言った。


「由衣ちゃんのために、演奏します」

リョウタが、ボーカルで、駿くんが、アコギで、カンジくんが、カホンをした。



由衣ちゃんは、感動して、涙ぐんでいた。花江も、隣で、うっとりしていた。花江の旦那さんは、出る幕がないようだった。



「京子、リョウタくん。ありがとう。由衣がやっと、進路決めたわ」

花江が、ランチに来た時に言った。都会の大学に、いくのだろうか。

「都会の大学をうけることにした」

うん。やはり行きたい大学に、行くべきだ。

「でも、電車で、一時間かけて、家から、通うって」

えぇー。都会まで通うの?!


「やっぱり、この町のイケメンから、離れたくないそうよ」


イケメン4人で誕生日を祝ったのは、いっそうイケメン好きを悪化させたみたいだ。




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