プリプリ。
料理教室の時間の最中メールが、ブーブー煩かった。音消すんだった。
「まだ終わんないの?」
「もう終わる時間じゃないの」
「早く、帰ってこいよ」
「恭のお迎え、オレ行くぞ」
今日は、ちらし寿司を作ってたので、お米を炊く時間もあり時間がかかった。
恭ちゃんのお迎えをリョウタにお願いしたかったので
メールでお願いのスタンプを送った。
「なんなん?スタンプだけの返信ってよ。気持ちこもってない。手抜きだ。オレに手抜きするなんて、オレに冷めだんだ」
スタンプだけ送ったら、リョウタから、ネチネチと返信が来た。
リョウタが、幼稚園に恭ちゃんを迎えに行った。
「恭ちゃんのパパ、カッコいいー」
子供たちが、リョウタに寄ってきた。
若い保育士も、
「今日は、パパがお迎えなんですね」
リョウタに、嬉しそうに話かけてきた。
「恭ちゃんのパパだ」
若いママさんも話かけてきた。
「恭ちゃんのパパも行こうー」
優希ちゃんが、言った。
「優希も、こう言ってるので恭ちゃんのパパも、お茶しに行きましょう」
優希ちゃんのママが、言った。
「行きましょう。恭ちゃんパパ」
大地くんのママも、言った。
まさか、行かないよね?
「パパ、ボク、早くママに会いたい」
恭ちゃんはリョウタに言った。
「あれ?リョウタと恭ちゃんは?」
私は、料理教室が終わって急いで家に帰ったのにリョウタと恭ちゃん、まだ帰ってきてなかった。
「確かに遅いわね。二人で買い物に行ったのかしら」
母親が言った。
リョウタと恭ちゃんが、やっと帰ってきた。
「へえー。それで遅かったの。優希ちゃんのママと大地くんのママと、ファミレスねー。へえー。」
優希ちゃんのママも、大地くんのママも、20代の若いママである。
若いママと、お茶するなんて、むかつく。
「パパ、優希ちゃんのママと、大地くんのママと、お話して楽しそうだった」
恭ちゃんが、私に告げ口をした。
「へえー。楽しかったんだ?そりゃ、20代の若いママと、お茶して、お喋りしたら、楽しいわよね」
なによ。私に、メールで早く帰ってこいって、しつこく言っておきながら、自分は若いママ達と、デレデレと、お茶するなんて、むかつく。
「違うって。恭だって子供同士の付き合いがあるだろうから、ママさん達に、態度悪くしてられないし、断りづらくて、仕方なく行ったんだよ」
リョウタは、言い訳を始めた。
「じゃあ、これからも、行けばいいでしょう」
「行かない。もう誘われても行かないよ」
「行かないって言ったら、私が年上の奥さんで、行かせない厳しい嫁みたいだから、次も行ったらいいじゃないー」
私はリョウタに散々ネチネチ言って、恭ちゃんと買い物に行った。
「あー。それは、リョウタさん良くないですよ」
駿くんが言った。リョウタは、私がプリプリしてるから、飲みに行った。
「オレも、それは京子さん、怒っても仕方ないと思う」
今度は真吾くんが、言った。
「いくら子供が一緒でも、既婚者同士だから、まずいよ。そのママさん達の旦那さんが、イケメンのリョウタくんと、お茶したと聞いたら、いい気持ちしないと思うよ。」
うん。真吾くんも、たまには良いこと言う。その通りだ。
「でも、オレにも若いママと、お茶したい気持ちはあるよ。」
真吾くん。結局、お茶したいのかよ。しょーもない。
「ただいま」
リョウタが飲み会から帰ってきた。
私は、ふんって、そっぽをむいた。
「京子。ごめん。真吾くんと駿くんにも、それは良くないと言われた。ママ達と、もう行かないから」
「真吾くんと、駿くんが?」
真吾くんと、駿くんの奥さんは若いから他のパパと、お茶に行かれたら嫌だから、私の気持ちが解るのだろう。
「わたしもパパ友と、お茶しに行っていいの?」
平日の昼間に、お茶できるパパって自営業の人くらいだろうから、めったにいないと思うけど。
「ダメ。絶対ダメだ。許さない」
だったら、リョウタも気を付けてほしい。イケメンパパ言われて、調子のってんじゃねーよ。
「カンジくんは、飲み会に来たの?」
私はリョウタにカンジくんのことを聞いた。
「カンジくんは、大工の見習いで、疲れてるみたいで、来なかった」
なんでも、松子さんのお母さんと、おばあちゃんがカンジくんに甘くて、ちやほやしてるらしい。
やっぱり女って、年をとってもイケメン好きだよね。
金のない婿だと、言う人もいるかもしれない。
でも、お金なくても母性をくすぐられる男だと、尽くしてしまうんだよね。
その辺は、カンジくん得だよね。
リョウタもね。
母性くすぐる男って、結局、憎めないよね。




