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後悔なのだろうか。

浴室のドアが、壊れたので、大工さんが来ている。

この大工さんが、松子さんのお父さんである。松子さんのお父さんの坂上大工は、先祖代々続いた大工だが、最近は、個人の大工さんに、頼む人が少なくなった。

松子さんのお父さんは、この町でも、腕のいい大工なので、昔からのお得意さんは、いまだにいるみたいである。


しかし、坂上大工さんは、松子さんを含め、娘さんばかりなので、跡を継ぐ人がいない。

「今、大工を継いでくれる婿なんて、来ませんよ」

松子さんのお父さんが、うちの母親に言った。

「この間、長女の松子に、40歳の弟子と見合いしろと言ったら、えらい剣幕で、怒られました。私は、一生結婚なんてしないわって、言われてました」

松子さんに、40歳の人と見合いしろっていっても、イケメンのカンジくんと付き合った後では、無理あるだろう。

松子さんのお父さん、婿欲しさに焦って、墓穴をほったようだ。



松子さんは、あれから、うちの店には来なくなった。

カンジくんと初めて会った場所でもある店。カンジくんのことを思い出して来たくないのだろうか。



リョウタが、また飲みに行った。

居酒屋のトイレに行く通路で、松子さんが、男性に絡まれていた。

どうも、松子さんの元カレと、偶然会ったらしい。松子さんは、会社の人と来ていた。

「松子、今から、二人で、どっか行こうぜ」

「嫌よ」

「いいじゃん」

そう言って、松子さんの元カレは、松子さんの腕をつかんだ。

「私に汚い手で触らないでっ。気持ち悪い」

松子さんは、元カレを押した。

「なんだとっ」

元カレは、松子さんを殴ろうとした。

「やめろ」

リョウタが、元カレの腕をつかんで、とめた。

「ちっ。イケメン三銃士かよ」

元カレは、リョウタと、真吾くんと、駿くんを見て、そう言って行ってしまった。

「松子さん、大丈夫?」

リョウタ達が、松子さんに声をかけた。

「ありがとうございます」

松子さんは、リョウタ達に、頭を下げて、すぐその場を去っていった。



リョウタが、帰ってきて、居酒屋のことでを言った。

「なんか、松子さん、オレ達に会いたくなかった感じだった。やっぱカンジくんのこと、まだ忘れてないのかな」

一生結婚しないと言ってるのだから、まだ忘れてないだろう。



「オレ、あの時、松子さんにカンジくんを紹介して、余計なことをしてしまったんだろうか」

リョウタが、言った。



松子さんは、カンジくんに出会わなければよかったと後悔してるだろうか。

私は、そんなことないはないと思う。


好きでもないのに、これといって惹かれるところもないのに、付き合って、良い想い出なんて、なんも、残らなくて、なんで、あんな人と付き合ったんだろうと。違和感だけ残る付き合いだったら、後悔するかもしれない。時間の無駄だったかもしれない。



でも、松子さんは、自分が惹かれた人と、付き合ったんだから、今は、想い出が、忘れられないような想い出だけで、カンジくんを忘れそうもなくて、辛いだけなのかもしれない。

忘れようとする想いと、忘れたくない想いが、葛藤してるのだろう。



日曜日に、ショピングモールに買い物に行ったら、松子さんが、いた。

「京子さん・・」

私を見ると、松子さんは、気まづそうだった。

「松子さん、最近来ないから、心配してたのよ」

「すいません。体調悪いので、なかなか、行けなくて」

松子さんは、私に謝った。

「無理に来てというわけじゃないから、松子さんのこと、気になったから」

「はい・・」

松子さんを見て、私は、なんとなく感じた。




「もしかして、松子さん、妊娠してる?」





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