二番目。
日曜日。
恭ちゃんとショッピングモールに行ったら、偶然にも、花江と佑実と会いフードコードで休むことになった。
「ずっと黙ってたけど、実は私、一番目に好きな人が、ずっーと忘れられないの」
そう言って佑実は、ため息をついた。
「佑実、この間は旦那とはいまだに、ラブラブって自慢してなかったけ?」
花江がコーラを吸いながら言った。
「それは旦那が、私のことを一番目に好きだからよ。旦那は、私のことを好きで好きでたまらないの。ほら、私、いまだに、ちっちゃくて可愛いから」
また出た。佑実の低身長で可愛くて童顔自慢。
「でも私は、中学の時から、木村くんが忘れないの」
木村って、あの中学の同級生の木村っ?!
「あー、佑実と木村くん、少し付き合ってたもんね」
花江が、コーラをズッーズッーと吸いながら言った。
「そうなの。でも高校が別々だから、泣く泣く別れたの」
高校、別々って、同じ町内なんだから、すぐ会えただろーが。
「中学の男子なんて、どうでも、いいわ。今は、どいつもこいつもオッサンなんだし。さっさっと忘れたら?」
花江はコーラを飲み終えて、今度はソフトクリームを買いに行き、恭ちゃんの分も買ってきた。
「花江おばちゃん、ありがとうっ」
恭ちゃんは、嬉しそうにバニラのソフトクリームを舐めた。
「でも木村くんは別よ。オッサンじゃないわ。きっと今も素敵よ」
佑実は、花江の全否定にも、耳もかさず、好きな人と会えない悲劇のヒロインのように浸っていた。
「木村くんって、隣の県にいるよね。確か教師だったような。独身らしいわよ。佑実、チャンスよ。告白したら」
花江は淡々と言った。
「でもー。旦那に悪いし。やっぱり二番目に好きな人と結婚するのが幸せというしー」
こいつは不倫ドラマの見過ぎで、浸ってるのかもしれない。
「京子の旦那さんは、きっと京子が二番目に好きだから結婚したんでしょう。じゃなきゃ10歳も年上と結婚するわけないしー」
佑実は、無理矢理、リョウタの話を持ちだしてきた。
ったく失礼なやつだ。
「何言ってんの。リョウタくんは京子が好きで好きで、こんな田舎に追いかけてきたのよ。夢中なのはリョウタくんの方よ」
花江がムッとして、佑実に言った。
「まあね。京子は、お金もあるしね」
佑実はヒモと言わんばかりに遠回しに言った。
「最近、木村くんのことを思い出して眠れないくらい辛いの」
佑実は完全に浸って、ため息をついた。
「そろそろ夕飯つくらなきゃ、いけないし、帰らない?」
花江は、佑実の話に飽きたようだ。
私達は、佑実とフードコードの前で別れた。
「もしかして佑実?中学から身長がかわらないから、すぐ分かったよ」
店内に響くような大きな声で、佑実に声をかけた男性がいた。
私と花江が振り返った。
佑実は、太ってハゲたオッサンに声をかけられていた。
「誰ですかっ?私は、あなたなんか知りませんっ。なれなれしいっ」
佑実は馴れ馴れしく声をかけたオッサンに怒っていた。
「わかんないの?オレだよ。オレっ。木村。中学のときに付き合っただろ。元彼を忘れるのかよ。ひどいなー」
木村っー?!
私と花江は、驚いた。
中学の同級生の佑実の忘れらない一番目に好きな木村くんは、お腹もでて太った赤らめ顔で、頭がハゲていたオッサンの姿だった。
佑実、一番目に好きなんでしょう。告白のチャンスよ。
私と花江は心の中で、つぶやいた。
「あなたなんかと、付き合ってませんっー」
佑実の声が、店内中に響いた。
「あれ?京子じゃないか。相変わらず綺麗だな。さすがマドンナは、夢を壊さないな」
佑実の夢は崩れたが。
木村くんが、私達に気づいて寄ってきた。
「おじちゃん、ママを見ないで。ボクのママなんだから」
恭ちゃんは、木村くんを睨んだ。
「ママは、ボクを一番目に好きなんだからねっ」
恭ちゃんは、睨みつづけて言った。




