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選挙運動。



店が終わって家に帰ると、リビングのソファーで、父親が考えこんでた。

その隣で恭ちゃんが絵本見ていた。


「ママー」

私を見ると、恭ちゃんは走ってきた。


「おじいちゃん、どうしたの?元気ないみたいだけど」

私は恭ちゃんに聞いた。


「しちょーだって」


「しちょー?」

しちょーって何だろう。シチューの間違いだろうか。


キッチンで、私とリョウタの夜食の準備をしていた母親が言った。


「今日ね。市役所の人が来たのよ。現職の市長が汚職で辞任したから、ぜひ市長に立候補して下さいと懇願されたのよ」



父親が、市長っー?!




市役所を定年退職してから7年。67歳の父親。

恭ちゃんが産まれて、孫の世話を嬉しそうにしてる父親が、今さら働くの?



当選したらの話である。




「なにも私じゃなくても。今は若い方が市長に立候補する時代と言って断ったが、どうしてもと言われてね」


父親が頭を抱えて言った。



辞任した市長が汚職という形だから、次の市長は信頼のおける、市に関して経験がある。そして婿が若者から人気あるから、父親なら若者からの支持率も高いのではないだろうかということらしい。



「へえー。お義父さん、すごい。市長なんて、カッコいい。立候補したらいんじゃないですか。」


迷ってる父親にリョウタは、あっけらかんと言った。



「おじいちゃん、しちょー、カッコいいー」

恭ちゃんも、リョウタの真似をして言った。



父親は、リョウタの一声が原因かどうかは判らないが、市長に立候補することになった。


立候補者は、父親を含め三名。


介護施設経営者 田ノ浦みつる 60歳。

元小学校教師 酒井まなぶ 48歳。


そして私の父親 元市役所職員 笹原としのぶ 67歳。



私とリョウタは、RSKの宣伝とも思われても迷惑かけるので、選挙運動は手伝わないことにした。



しかし真吾くんが農作業の合間をぬって、父親の選挙運動を手伝うことになった。



真吾くんは同級生のベテランのウグイス嬢を連れてきて、選挙カーを運転し、選挙演説をして回った。



他の候補者の選挙運動は、かなりの熱の入れようだった。あまりの熱の入れように、なにを熱く語ってるのが判らない演説を長々と力説していた。




介護施設経営者の田ノ浦さんは、介護活動に力を入れたいらしく、お年寄りの支持を得たいようで道路に出てくるお年寄りに手を振り、綺麗事かどうかはしらないが、延々と、素晴らしい介護を目指すことを語っていた。



元小学校教師の酒井さんは、教育のあり方を熱弁していた。酒井さんは元教え子の父兄からの投票を集めるかもしれない。



選挙権を持っている学生が話をしていた。


「市長選挙行く?」

「いつもは行かないけど、RSKのリョウタさんのお義父さんが立候補してるらしいから行くかな」

「じゃあ、オレも行こう」



店が終わってから家に帰ると、リビングで父親は疲れて、ぐったりしていた。



67歳で、こんな無理して身体大丈夫だろうか。




別に当選しなくてもいいだろう。

父親の身体のほうが心配である。




選挙日。


「当選しなくてもいいさ。この歳で選挙運動といういい経験をした。真吾くんにも手伝ってもらって助かった。」


父親が言った。


投票が始まるころに、私とリョウタは父親の選挙事務所に行った。



投票開始から、一時間後

ローカルニュースが速報をだした。


『笹原としのぶ候補者に当確がでました』




事務所には駿くん夫婦も、カンジくん夫婦も、紀香ちゃんも来て、みんなで、バンザイを何回もした。




やはり若者からの票を集めて、トップで当選した。





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